日銀・黒田総裁会見10月31日(全文1)これまでの方針を維持
日銀の黒田東彦総裁は、金融政策決定会合後の31日午後、記者会見を行った。 ※【**** 00:35:30】などと記した部分は、判別できなかった箇所ですので、ご了承ください。タイムレコードは、「日銀・黒田総裁が会見(2019年10月31日)」に対応しております。 【動画】日銀・黒田総裁が会見(2019年10月31日) ◇ ◇
本日の決定内容
時事通信:幹事社の時事通信【カワムラ 00:02:40】です。よろしくお願いします。まず幹事社から3点質問させていただきます。1つ目がですけれども、本日の決定内容について説明をお願いします。 黒田:本日の決定会合では、先行きの経済・物価見通しを展望レポートとして取りまとめるとともに、物価安定の目標に向けたモメンタムについて評価を行いました。 経済・物価情勢の点検の結果、日本銀行は物価安定の目標に向けたモメンタムが損なわれる恐れについて、一段と高まる状況ではないものの、引き続き注意が必要な情勢にあると判断しました。 また、こうした認識を明確にする観点から、新たな政策金利のフォワードガイダンスを決定しました。具体的には、政策金利については物価安定の目標に向けたモメンタムが損なわれる恐れに注意が必要な間、現在の長短金利の水準、またはそれを下回る水準で推移することを想定していることを説明しました。 金融市場調節方針については、賛成多数で長期国債以外の資産の買い入れ方針については、全員一致でこれまでの方針を維持することを決定しました。 次に、本日決定、公表した展望レポートと、物価安定の目標に向けたモメンタムの評価に沿って、経済・物価の現状と先行き、金融政策運営の基本的な考え方について、ご説明いたします。
景気の拡大基調が続く
まずわが国の景気の現状は、輸出生産や企業マインド面に海外経済の減速の影響が引き続き見られるものの、所得から支出への前向きの循環メカニズムが働く下で、基調としては緩やかに拡大していると判断しました。先行きを展望すると、当面海外経済の減速の影響が続くものの、国内需要への波及は限定的となり、2021年度までの見通し期間を通じて、景気の拡大基調が続くと考えられます。 やや詳しく申し上げますと、海外経済は成長ペースの持ち直し時期が、これまでの想定よりも遅れるとみられます。そうした下で、わが国の輸出は当面弱めの動きが続くと考えられます。もっとも国内需要については、企業・家計の両部門において、所得から支出への前向きな循環メカニズムが持続する下で、海外経済の減速の波及は限定的となり、増加基調をたどるとみられます。 すなわち、設備投資は緩和的な金融環境の下で、建設投資や省力化投資、研究開発投資などを中心に、緩やかな増加を続けると考えられます。個人消費も、雇用・所得環境の改善が続く下で、緩やかな増加傾向をたどるとみられます。また海外経済についても、各国のマクロ経済政策の効果発現や、IT関連財の調整の進捗などを背景に、先行き成長率を高めると予想されます。 こうしたことから、わが国経済は2021年度までの見通し期間を通じ、景気の拡大基調が続き、ならして見れば潜在成長率並みの成長を続けるとみられます。 次に物価面です。消費者物価の前年比はプラスで推移していますが、景気の拡大や労働需給の引き締まりに比べると、弱めの動きが続いています。中長期的な予想物価上昇率を見ると、横ばい圏内で推移しています。 先行きは当面、原油価格の下落の影響などを受けつつも、見通し期間を通じて景気の拡大基調が続く中で、マクロ的な需給ギャップがプラスの状態を続けることや、中長期的な予想物価上昇率が高まることなどを背景に、消費者物価の前年比は2%に向けて徐々に上昇率を高めていくと考えられます。