日銀・黒田総裁会見10月31日(全文1)これまでの方針を維持
金利引き下げが第一の選択肢になるのか
読売新聞:読売新聞の【トダ 00:15:51】と申します。2点お願いします。総裁はこれまで追加緩和の方策として4つの手段、もしくはその組み合わせを常々おっしゃっていましたけれども、今回のフォワードガイダンスでは長短金利の現状の水準、もしくは下回る水準というふうに明記しましたけれども、今後その追加緩和を行う場合は金利の引き下げっていうのが第一の選択肢になっていくのかということをまず1点目お伺いします。 黒田:フォワードガイダンスとして、先ほど来申し上げたように政策金利については長短金利の水準が現行、あるいはさらにそれより低下した水準が今後、当分続くということを明記したわけでして、これは先ほども申し上げたように緩和方向をより意識して政策運営を行うということを金利のフォワードガイダンスという形で方針にしたわけであります。 追加緩和の手段としては、もちろんこの政策金利の引き下げであるとか、資産買入プログラムの拡大であるとか、あるいはマネタリーベースの増加のペースを加速するとか、さまざまなオプションがありまして、具体的に追加緩和を決めるときの経済・物価・金融情勢を踏まえて最適な組み合わせというか、あるいは改善した形でやるということで、政策金利に限られているということはありません。ただ、あくまでも政策金利のフォワードガイダンスとして、現状の低い水準、ないしはそれを下回る水準がかなり長い期間続くということをお示ししたわけであります。
日本経済のリスクはどう変化しているのか
読売新聞:もう1点なんですけど、前回9月の決定会合以降、日銀短観があり、さくらレポートがあり、いろいろそのデータも出てきたと思うんですけれども、日本経済のリスクというのは前回、9月から比べてどう変化しているとお考えですか。 黒田:ご案内のとおり、日銀短観、あるいは支店長会議などの報告なども聞く限り、基本的に海外経済のリスクっていうのはさらに高まっているという可能性があると思いますけれども、他方で内需のほう、特に設備投資、あるいは消費の動向を短観、あるいは支店長会議の報告、さらにはその後も各種統計が出ておりますけども、それらを見る限り先ほど申し上げたように、外需が弱い、輸出が弱くて、それが鉱工業生産に反映して企業マインドも製造業を中心にやや弱まっているという状況はありますけど内需全体で見ますと設備投資が大変堅調であり、消費も緩やかではありますけども伸びてるという状況にありますので外需の弱さが内需、あるいは製造業の弱さが非製造業に波及してるっていう感じではない、まだそういうことは限定的であるということでありますので、先ほど来、申し上げてるように海外経済のリスクはやや高まっているけれども、それが内需に波及しているということにはまだなってない、限定的であるという意味では経済自体が前回よりも非常に弱まってるとかそういうことはないんですけども、やはり海外経済を中心としたリスクは高まっているので、物価安定目標に向けたモメンタムが損なわれる恐れについては引き続き十分注意していく必要があるという状況にあるということだというふうに思います。