「マイコプラズマ肺炎」と「肺炎」の違いを医師が解説 10・20代に発症者が多くなる?
マイコプラズマ肺炎の見分け方と注意点
編集部: 風邪と似た症状があると聞きますが、どうやって見分けるのでしょうか? 忽那先生: マイコプラズマ肺炎は、風邪と症状が似ていますが、主な違いは「咳が長引く」という点です。風邪の場合、症状は通常1週間以内に改善しますが、マイコプラズマ肺炎では乾いた咳が数週間続くことがあります。 この長引く咳が重要なサインです。自己判断で風邪だと思い込み、放置すると重症化する可能性があります。少しでも疑わしい場合は早めに医療機関を受診するようにしましょう。 編集部: どのタイミングで病院に行くべきでしょうか? 忽那先生: 一般的に風邪は1週間程度で回復しますが、それ以上続く場合や、発熱、息苦しさ、胸の痛みといった症状が見られる場合は受診をお勧めします。 また、高齢者や慢性疾患を持つ方は、早期受診を強くお勧めします。肺炎は進行すると治療が難しくなる場合があるため、油断せずに対応することが大切です。 編集部: 重症化した場合にはどのような症状が出ますか? 忽那先生: 重症化した場合には、通常の肺炎と同様の症状、たとえば呼吸困難や高熱、胸の痛みが見られます。ただし、マイコプラズマ肺炎は特定の抗生物質でしか治療できないため、ほかの肺炎用の抗生物質が効かない場合があります。 この点が診断や治療を難しくするポイントです。正確な診断のためには、医療機関での検査が必要です。
マイコプラズマ肺炎の治療と予防
編集部: マイコプラズマ肺炎の治療法について教えてください。 忽那先生: 軽症の場合は自然に回復することもありますが、ほとんどの場合は抗生物質が必要です。マイコプラズマ肺炎の場合は、効く抗生物質が普通の肺炎とは種類が違うことに注意が必要です。 普通の肺炎だと思って処方された抗菌薬が効かないということが起こりうると思います。そのほか、症状を和らげるために、咳止めや解熱剤が処方されることもあります。早期診断と適切な治療を受ければ、通常は数週間で回復します。 編集部: 一度完治しても、再び感染することはありますか? 忽那先生: マイコプラズマ肺炎に一度感染すると免疫がつきますが、その効果は永久ではありません。数年後には再感染のリスクがあります。ただし、一度感染すると免疫ができるため、しばらくは再感染しにくいだろうと言われています。 編集部: 予防の方法についても教えてください。 忽那先生: 現在、マイコプラズマ肺炎に特化したワクチンはありません。そのため、感染対策として咳エチケットや手洗いが非常に重要です。 咳やくしゃみをする際には口元を覆い、手指をこまめに洗うことで感染を広げない努力が求められます。また、免疫力を高めるため、規則正しい生活やバランスの取れた食事を心がけることも予防に役立ちます。