「マイコプラズマ肺炎」と「肺炎」の違いを医師が解説 10・20代に発症者が多くなる?
最近話題に上がることが多い「マイコプラズマ肺炎」。とくに子どもや若い世代に多く見られ、初期症状が風邪と似ているため、見過ごされがちです。しかし、適切な治療を怠ると重症化する可能性もあります。 【イラスト解説】大人もうつる「マイコプラズマ肺炎」厄介な特徴・予防法 本記事では、マイコプラズマ肺炎と風邪の違い、感染拡大の背景、さらに予防方法や治療法について感染症専門医の忽那賢志先生にお話を伺いました。
マイコプラズマ肺炎の概要 風邪とどのような違いがあるのか
編集部: マイコプラズマ肺炎は普通の肺炎とどのように異なるのですか? 忽那先生: マイコプラズマ肺炎は、通常の肺炎とは発症の仕方や対象年齢層が異なります。最初は風邪のような喉の痛みや軽い発熱から始まり、咳が長引くのが特徴です。軽症の場合、自然に回復することもありますが、適切な治療が必要なケースも少なくありません。 通常の肺炎が高齢者に多い一方で、マイコプラズマ肺炎は10代や20代の若年層や子どもに多く見られます。とくに、子どもの肺炎ではマイコプラズマが原因である頻度が高いことを医師は念頭に置いています。風邪との違いは、咳が長引き、治りにくい点にあります。 編集部: 最近「マイコプラズマ肺炎が流行している」と聞きますが、なぜ感染が広がっているのでしょうか? 忽那先生: コロナ禍では、感染対策の徹底や人の移動制限があり、マイコプラズマ肺炎はほとんど見られませんでした。しかし、対策が緩和され通常の生活に戻る中で、人と人の接触が増えたため感染が拡大しています。 さらに、数年間にわたり感染が少なかったことで免疫を持つ人が減少しているのも要因の一つです。そのため、現在はマイコプラズマ肺炎の感染リスクが高まっていると言えます。 編集部: 感染しやすい人やリスクの高い人の特徴を教えてください。 忽那先生: とくに感染しやすい体質があるわけではありませんが、若年層、とくに子どもや10代・20代の人に多く見られます。一方、重症化しやすいのは高齢者や、慢性の呼吸器疾患や心疾患を持つ人です。こうした方々は、症状が軽度でも早めに医療機関を受診することが重要です。