三笘薫、旗手怜央、イサカ・ゼインらと同期入団。古巣・川崎サポから背中を押された甲府DF神谷凱士が誓ったさらなる成長
鬼木監督からもかけられた言葉
[ルヴァン杯・準々決勝・第2戦]甲府 1-1 川崎※トータルスコア1-2で川崎が勝ち抜け/9月8日/JIT リサイクルインク スタジアム 【動画】甲府×川崎ハイライト 後半アディショナルタイムに遠野大弥の劇的なゴールで1-1のドローに持ち込み、トータルスコア2-1でJ1川崎がJ2甲府を下してルヴァンカップ・準決勝への進出を決めたゲーム。 その試合後、川崎のゴール裏には甲府の29番の姿があった。 神谷凱士。 東海学園大学から2020年に川崎に入団し、2シーズンプレーした主にCBを務めるレフティDFである。 川崎ではそれぞれ大卒だった三笘薫(現ブライトン)、旗手怜央(現セルティック)、イサカ・ゼイン(現・山形)と同期で、当時はチームが歴史的な強さでリーグ連覇(20年、21年)を果たしたタイミングであった。 そのなかで神谷はなかなか出場機会を掴めず、22年には藤枝、23年には甲府にレンタル移籍し、今季、甲府へ完全移籍していた。 古巣の川崎との特別な一戦。それだけにベンチのまま試合を終えたことを本人は悔やんだが、恩師や川崎サポーターからの声に感謝する。 「シンプルに試合に出たかったです。知っている選手も多いですし、オニさん(鬼木達監督)の下でやっていたので成長した自分をサポーターの方を含めて見せたかった想いはありました。ただ、試合展開的に出るのは難しく、すごく悔しいですが、サポーターの方を含め皆さんに挨拶できたので良かったです」 鬼木監督からは「『お前の左足は警戒していたから出て来なくて良かった』というような言葉をかけてもらえて嬉しかったです。でもフリーキックがあったら自信はあったのでやっぱり出たかったですね」と振り返る。 そして温かな言葉をかけてくれた川崎サポーターへの改めての感謝の言葉も口にする。 「『神谷』って多くの方が呼んでくれて、僕にとってプロとしての初めてのチームが川崎で良かったなと再確認しました。あの時の川崎はすごく強くて、普段から当時の強度やプレーの質を意識し続けていれば、どこでもレベルアップできると思っています。その意味でもあまり試合には出られなかったですが、リーグ優勝を2回、そして天皇杯の優勝も経験できて、すごく幸せな2年間でした」 一方で今は所属する甲府のために全力を注いでいる。今季は2度の脳震盪を経験したが、「合計2か月半くらい休んでいて、コンディション的にはなかなか上がらず。でもそれは言い訳にしたくないのでもっと頑張りたいです」と、6試合(370分)・1ゴールという現在の成績からさらなる飛躍を期す。 「カオルもレオもゼインもみんなすごい。僕も頑張らないと。もっとコンスタントに試合に出て、もっとアピールして、上のカテゴリーでも勝負したい。目標はブレずに持ち続けたいです」とも話す。 ちなみにその手には、川崎のユニホームが握られていたが、誰と交換したものだったのだろうか。 「(大島)僚太くんです。当時、すごくお世話になって、僕は車屋(紳太郎)軍団に入っていて、僚太くんにもよくご飯とか連れていってもらっていました」 正確な左足を持ち、最終ラインからビルドアップに関われる楽しみな存在だ。 甲府はルヴァンカップ敗退を受け、ここからリーグ戦に専念していく。ACLから始まったシーズンもいよいよ佳境に入っていく。昇格プレーオフに進める6位とは勝点9差。その戦いのなかで神谷がこの一戦をキッカケにさらなる躍動を見せてくれることに期待したい。 取材・文●本田健介(サッカーダイジェスト編集部)
【関連記事】
- 「英国とかイタリアに行ったら、また変わるけどなー」吉田麻也が移籍を期待する日本代表戦士は?「イギリスが1番だと思っていたけど…」
- 現代サッカーをどう思うか――小野伸二の質問に中村俊輔の答は?「ファンタジスタ的な考え、10番的なスタイルの人からすると...」
- 「A代表に食い込んでくる」五輪代表から森保ジャパンに“昇格”するのは? 元日本代表DF槙野智章が持論「すごかった」【パリ五輪】
- 「世界のトップ5は可能」川崎FWゴミスが日本サッカーの躍進に期待!「若手世代は非常に素晴らしい練習をしている」
- 中村憲剛、内田篤人らがS級の同期で研修先は現役時代ボランチを組んだ鬼木達監督率いる川崎。ルヴァンカップの裏側にあった大塚真司“新米監督”と甲府の挑戦