「影の首相」自民・森山幹事長の老かいな手練手管 国民民主、維新をはかりにかけつつ、あわよくば?
■あわよくば「連立」で少数与党を脱する狙いも 維新は、吉村代表になって執行部を一新したが、馬場伸幸前代表の執行部時代には、「執行部組」と、国会に重きを置く議員の「国会組」で対立があり、今もくすぶっているとされる。国民民主党を離党後、「教育無償化を実現する会」の代表だった前原氏を維新に合流させたのは馬場氏だ。 維新議員の秘書経験がある選挙プランナーの藤川晋之助氏はこう話す。 「自民党内から聞いたのは、維新で内部対立があるので、馬場氏あたりが10人くらい束ねて、新党を立ち上げて政権に入ってくれないかという話。それで馬場氏に『10人くらいで新党やらないの』と聞いてみたら、『10人ついてくるわけない』と冗談交じりで言っていました。今、メディアでは、過半数割れの与党が苦労して国民民主と維新に平身低頭という論調があります。しかし、自民党は2つの党をうまくはかりにかけながら、手なずけようとしている。森山幹事長が、国民民主党を大事にするふりをしながら、石破首相と前原氏とのパイプを使って維新を揺さぶる。野党第一党の立憲民主党を孤立させ、慌てる状況を作り出す。あわよくば連立も見越して少数与党を脱すというのが森山幹事長の思いでは」 国民民主の衆院議員はこう話す。 「今年は参院選、東京都議選などが目白押し。その中でうちの看板政策である『103万円の壁』をぶっ壊すには与党とのつながりは残さないといけない。与党と決裂すると、与党は維新に手を伸ばすのは間違いない。うちは与党とも組みますよという今のポジションをどう維持できるかが重要なんだ」 したたかなようにも聞こえるが、すでに森山氏の術中にはまっているようでもある。 (AERA dot.編集部・今西憲之)
今西憲之