「影の首相」自民・森山幹事長の老かいな手練手管 国民民主、維新をはかりにかけつつ、あわよくば?
■「維新に手を突っ込み始めた」森山氏 国民民主頼みだけでは危ういと考える与党は、同時に日本維新の会にも働きかけている。 昨年12月、大阪府知事の吉村洋文氏が新代表に選出され、前原誠司衆院議員が共同代表に就いたばかりの維新。政策に掲げてきた「教育無償化」について、12月12日に自公と維新の3党は協議体設置で合意し、これを受けて維新は補正予算案に賛成した。 政府の予算編成大綱案には「教育無償化を求める声があることを念頭に」との一言が入ることになり、維新幹部はこう話す。 「維新がこれまで打ち出してきた高校教育無償化を与党に受け入れられた。国民民主の『103万円の壁』は前に進まないが、与党に維新の政策を飲ませるチャンスだ。うちのほうが、国民民主より議席数は多いからね」 とはいえ、予算編成大綱案に書かれたからといって、無償化が実現する保証はない。今後の展開次第では、与党にうまく扱われる可能性もある。 政治評論家の田村重信氏は、こう解説する。 「当初は国民民主一本だったが、森山幹事長が維新に手を突っ込みはじめたのでしょう。通常国会で本予算の審議が始まるが、国民民主と維新、どちらかを取り込めばいいので、それぞれけん制させて予算の賛成に持ち込むというのが森山氏の狙いです。国民民主には『103万円の壁』、維新へは『高校教育無償化』を実現させるようにささやきながら、与党側につかせて立憲民主党を孤立させようという目論見でしょう」 維新は吉村代表が与党と対決姿勢を見せていたのに対し、急速に与党に接近しているように見える。この背景には、石破首相と前原共同代表の関係の近さもあると田村氏は言う。 「石破首相は防衛大臣経験者で、防衛族のドン。前原氏も野党では防衛族として知られる存在。また、共通の趣味が鉄道ということもあり、2人の関係は、政治からプライベートまで、非常に深い。維新の教育無償化についても2人は水面下でやりとりしているはずです」