食中毒注意報が相次ぐ「怪しい食べ物は思い切って捨てる」
高温、多湿が続いている地方で、自治体の「食中毒注意報」が相次ぎ、多いところでは8月中に7回も発令しました。気温や湿度が高い気象条件が続くと食中毒の原因となる細菌が増えやすくなるためです。料理を常温で放置するなどの油断が食中毒につながる恐れがあり、注意を呼び掛けています。 【写真】バーベキューシーズン到来 食中毒を防ぐには?
自治体ごとに少し違う発令基準
長野県は8月16日からの3日間を対象に出した「夏期食中毒注意報」が7月以降で5回目になり、昨年同期の倍以上の回数に。大分県は8月1、3、5、8日と続き、8月17日に7回目の「食中毒注意報」を発令しました。滋賀県は16日まで1週間、注意報を出しました。 千葉県は注意報発令の条件を「夏日(1日の最高気温が25度以上)が3日以上続き、館山から銚子に至る地点の海水温が3日以上続けて20度を超えた場合」と海浜県独自の気象を考慮。これに当てはまる見込みの7月4日から9月30日までの間、食中毒注意報を発令しています。さらに8月5日には食中毒警報を出しました。 海浜県以外の一般の自治体では注意報発令の目安は気温と湿度。「県内4地点の前2日間の最高気温の平均が30度以上、同最低気温が20度以上、同湿度が70%以上」(長野県)、「気温差などから算出した基準値が70以上、最高気温28度以上、最低気温21度以上、前日の平均湿度70%以上」(大阪市)などとし、自治体によって基準が少し異なります。
料理を常温で放置は禁物
どの自治体も食品の扱いに注意を促しており、長野県では「時間がたったり怪しいと思った食品は思い切って捨てること」と指摘。カレーや煮物などいったん加熱したものでも、一晩常温で置いておくと、下痢や腹痛を引き起こすウェルシュ菌などの食中毒菌が生き残っていて増殖するおそれがあるとしています。この菌の芽胞(がほう)は熱に強く、再加熱が不十分だと他の細菌は死んでも生き残る可能性があります。 また冷蔵庫で保存するときは、▽すぐに冷えるよう容器に小分けして保存する、▽小分けの際はしっかり手を洗い、容器や器具も清潔なものを使う――と注意。温め直す場合は「75度で1分以上」を目安に十分加熱することが必要だとしています。 このほか、まな板、ふきんの小まめな消毒、「早く調理し、早く食べる」の励行、十分な加熱、鶏肉の生食は控える――などを指摘。厚労省や自治体は食中毒菌を「付けない、増やさない、やっつける」の3原則で防ぐよう呼び掛けています。