野外の素材で火おこしする方法!火打ち石で、天然のロープで弓を作って…
弓錐式で発火にチャレンジ
師匠・藤原氏:それなら、レベルアップといこうか……。まずはカラムシの繊維でロープづくり。手がアクで茶色に染まるけどいいな。 編集・ハラボー:ハイッ! 師匠・藤原氏:次に作るのは火切り板とスピンドル。枝を板状に削ったものと、回転するスピンドルを擦り合わせて火種を生む。ハンドピースとの摩擦を抑える潤滑油は鼻の脂。棒の上端に塗って! 編集・ハラボー:ハ、ハイッていいたくないけどハイッ! 師匠・藤原氏:道具がそろったら、弓でスピンドルを回して火種を作る。力を逃さないポーズが重要! 編集・ハラボー:これ、かなり、重労働。 ゴシゴシやって、できた火種を草にインっと。……出た~! 完全自力発火、できました! ◆総天然! これが弓錐式発火セットだ ・弓 ゆるやかにカーブした長さ60㎝ほどの枝の先端にカラムシのロープの片端を結びつける。 ・スピンドル 針葉樹の真っ直ぐな枝を用意して両端を円錐形に尖らせる。ハンドピースを当てる側は60度ほど、火切り板に当てる側は90度程度に。 ・火切り板 針葉樹の枝を削り、厚み2㎝ほどの板状にする。板状に削ったらスピンドルの鈍角側が収まるよう皿状に削り、V字の切れ込みをつくる。 ・ハンドピース BBQ客が捨てたホッキガイの殻をリユース。内側の滑らかな凹面でスピンドルを押さえつける。凹面がつくれれば堅い木や石でもよい。 ◆作り方はこちら! 1 カラムシの繊維からロープを作る! カラムシは本州以南の山野に分布。古い時代はこの草の皮の繊維から布を作った。近縁種のヤブマオも素材になる。 地上部の葉を手でこそげ落としたら、根元側から皮をむいていく。ロープに使うのは皮のほう。できるだけ繊維を長く取る意識でむく。 ↓ 皮を数本とって末端を結び、2条に分ける。左右に分けたそれぞれを指で時計回りによじり、繊維に撚りをかけていく。 ↓ 束の撚りが強くなったら束を摘む手を反時計回りに回転し、束を持ち替える。2本の束は撚りが戻る力で絡まり合う。これを繰り返す。 ↓ 天然のロープを手に入れた! 2 スピンドルと火切り板を削り出す 拾ってきた針葉樹の枝を火切り板とスピンドルに加工する。スピンドルは両端を尖らせ、上端のトンガリはハンドピースの窪みに、下端のトンガリは火切り板に彫る穴に収める。 上端は摩擦が小さいほどよいので、細く尖らせて鼻の脂を塗る。 3 道具をセッティング ・ポーズを制するものが火おこしを制す! 膝頭を抱き込み脇を締め、体重を肩→ひざ→脛→手首→スピンドルの順でかける。 手首がぐらつかないように脛にぴったりつける。 弓の弦は地面に対して平行を維持したまま前後させる。ムズイ! 4 弓を使って摩擦発火! 弓の弦を2回巻いたスピンドルを火切り板に合わせ、ハンドピースで押し付けつつ弓を前後させる。 序盤は慌てずゆっくりと。弓の弦全体を使って、長いストロークで摩擦面の温度を少しずつ高める。 ↓ 摩擦面から出てくる粉がこげ茶になったらスパートをかける。強く押し付けつつ素早く回転させる。 ↓ 摩擦面から白煙が上がったあと、摩擦面ではなくこぼれた粉の中から煙が出たら火種の誕生! 火種ができたら枯れ草の束のなかへ。摩擦発火の火種はチャークロスよりも大きいので立ち消えしにくい。 ↓ Complete! ※構成/藤原祥弘 撮影/矢島慎一 (BE-PAL 2024年9月号より)
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