鹿島アントラーズは岩政新監督で何がどう変わったか…湘南戦で手痛いドロー
前半戦でチーム最多の10ゴールをあげ、いまもJ1得点ランキングのトップタイに名を連ねるFW上田綺世(23、現サークル・ブルージュ)が7月に移籍。深刻な得点力不足に陥った鹿島は1勝3分け2敗と失速し、体制変更へとつながった。 昨オフにも2人のセンターバック、犬飼智也(29、現浦和レッズ)と東京五輪代表の町田浩樹(24、現ユニオン・ザンジロワーズ)が移籍。新加入のキム・ミンテ(28、前北海道コンサドーレ札幌)では穴は埋められないと批判されてきた。 こうした状況を受けて夏場の補強が急務だと指摘され、実際に前体制下ではナイジェリア出身のFWエレケ(26、前ベールスホット)の加入が決まっていた。だからこそ、岩政監督の補強凍結宣言は選手たちの心を奮い立たせた。 現役時代は鹿島に10年間所属し、2007シーズンから幕を開けた、前人未到のJ1リーグ戦3連覇にセンターバックとして貢献した岩政監督はさらにこう語っている。 「このクラブで働くこと、仕事をすることに喜びと楽しさを感じて、毎日ワクワク、ウキウキしながら一日を終えて帰れる。そういう環境が整えばみんながもっと力を発揮できるクラブになっていく、という思いがあるので、それをかなえることが先です」 鹿島での日々を魅力あるものにするために、練習内容も一変させた。 たとえば鈴木は「戦い方を提示してくれる」と新体制下での変化をあげ、関川も「相手の対策を考える時間が1週間もあるのはすごくいい」と笑顔を浮かべる。就任直後から福岡対策が徹底され、実際に快勝した成功体験もさらに士気を高めた。 言うまでもなく、湘南戦へは異なるアプローチが取られた。 相手のロングボール攻めに戸惑った前半から一転、エヴェラウドとキム・ミンテ、そしてMF和泉竜司(28)と後半開始から一気に3人を変えて流れをやや押し戻す。迎えた14分には和泉のボール奪取から細かいパスをつないで相手ペナルティーエリア内を陥れ、エヴェラウドのゴールで先制した。湘南戦へ準備してきたものに近い形だった。 しかし、前述したようにセットプレーから追いつかれ、そのままのスコアで終えてしまった結果と内容を、三竿はあえて厳しい言葉で振り返っている。 「(監督が示した戦い方を)頭のなかで整理できていたと思うし、逆にあれで理解できていなかったらサッカーをやめた方がいい。あとは実際に相手がいる状況で、準備してきたことが上手くいかなくなったときに、どのように頭を切り替えていくのか。言われたことに加えて、ピッチの上で判断する力がまだまだ僕たちには足りない。もっともっと自分たちのサッカーIQを上げて、応用していかなければいけない」