103万円の壁が問う財源問題、手取りは一時的に増えるけど若者世代の将来負担に、削るとすれば福祉・地方関連予算か
■ 国民民主党って、本当のところはどうなんですか? ついに世論調査で野党第一党に躍り出た国民民主党。玉木雄一郎さんは派手にやらかして代表の役職停止中ですが、「対決より解決」を長らく主張しながら、政党支持率が1%強をずっとウロウロしていた日々が夢のように支持率爆あがりになっています。 もっとも、支持基盤という点では、自民党の自称「岩盤右翼」とされていた安倍晋三さんの一部支持者と、日本維新の会を支持していた勤労世帯・若者世代が国民民主支持に鞍替えしただけで、彼らの期待に応えられないと一気に支持を失う風頼みの面はあります。 他方で、給与所得控除&基礎控除103万円の壁やトリガー条項凍結解除を不動の政策主張の柱にした結果、ざっくり7兆6000億円ほどの税収減に対応する財源問題や、地方自治体の自主財源の減少で立ち行かなくなる自治体どうすんの問題が勃発しました。 これら財源問題に対する回答を国民民主党は明確にしておらず、財源探しは与党側の責任でやるべきと仰っております。そうですか……。 国民民主党の主張に一理あるのは、財源問題はともかく、いまの勤労世帯・若者世代の所得税や社会保険料負担が大きすぎるうえに、こうした徴収されるカネのかなりの割合が高齢者福祉に回されている現実があるからです。 そもそも社会保障の問題は、団塊の世代が後期高齢者に入り、最も医療費のかかる2042年ごろまで支出圧力が強まり続けることにあります。つまり、簡単に言えば若者は今後もっと貧乏になります。高齢になって、生産しない高齢者のお世話に貴重な若者や外国人労働者をつけても国の経済は良くなりませんからね。 ほっておくと、ただでさえ勤労世帯・若者世代の負担が大きくなるのに、大きくなる前提で現状維持をしていたら若者の貧困に拍車がかかるだろ、という点が問題の本質です。 加えて、ロシアによるウクライナ侵攻やイスラエル・ガザ問題などの安全保障上の問題、さらにコロナ禍を経て世界的に資源インフレが加速し、日本の円安が深刻になったため、輸入超過が高止まりし国力の低下が鮮明になっているという現実もあります。 確かに、豊かな日本を実現してきた功労者として、いまの高齢層を支えたいという気持ちはあるにしても、これからの時代を支える若者が貧しく、結婚もできず、子育てもあきらめざるを得ない現状があります。 そんな現状の政策を維持する既得権益は打破して、もっと若者におカネと仕事が回ってくるような社会にしたい、というのが国民民主党の政策主張の根本なのは理解できます。なんせ、玉木雄一郎さん自ら尊厳死・安楽死議論に踏み込んでたぐらいですからな。 それを考えれば、高齢者への支出の財源はさておき、「いま苦しんでいる勤労世帯・若者世代におカネを回す施策を緊急に考えるべきだ」「だから2026年度と言わず来年にも所得控除はどうにかしろ」という国民民主党の政策主張には理があり、若者からの支持が集まるのも当然です。