髪は膝下まで伸び、歯はボロボロに欠け、身体はガリガリに…14歳から17年間“引きこもり”だった男性(50)が明かす、壮絶な引きこもり生活
精神科の閉鎖病棟に強制措置入院することになった“きっかけ”
――社会復帰を諦めきれなかったわけですね。 糸井 そうです。それに、このまま死んだら、私の存在がなかったことにされるんじゃないか、私が幼い頃から感じていた痛みも苦しみもなかったことにされるんじゃないか、と思うようにもなったんです。もし死ぬとしても、それだけは嫌だった。 その思いがピークに達したときに、紙テープで血染めの歯形を作って、それをA4の便箋に貼って弁護士事務所と医療機関の2か所に送ったんです。 ――血染めの歯形? 糸井 自分の歯形です。上歯と下歯の本数を調べて、歯が欠けている部分もわかるように紙テープの裏側に描いて。それを自分の血で染めたんです。一緒に血で染めた1万円札も同封して送りました。 ――なぜそのような行動を起こしたのでしょう。 糸井 自分が生きた証を残したかった。だから「助けてください」というメッセージも書きませんでした。助かるとも思っていなかったし、血染めの歯形を送って、そのあとは死ぬんだろうと思っていました。 でも、それがきっかけで医療関係者が私の家に訪ねて、精神科の閉鎖病棟に強制措置入院することになったんです。引きこもってから17年が経過した、31歳のときでした。 撮影=山元茂樹/文藝春秋 「当時の自分は異常だった」「でも、恋愛や就職を諦められず…」17年間“引きこもり”だった50歳男性が、大学に入学して社会復帰を果たすまで へ続く
「文春オンライン」編集部
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