ジム・ロジャーズ「日本の円安が心配でならない。日本は大丈夫」という考えは間違いである
しかし今回の円安では、そのようなリスクヘッジを抜きにしても、円は大幅に売られ、捨てられ始めたのである。 ■現在の円安はゼロ金利政策が原因 私は、日本の財務状況は、ウクライナと戦争をしている現在のロシアよりも悪いと思っている。国の負債額がロシアと比べはるかに大きいからだ。国債の利回りが世界の主要国と比べて低いのも問題だ。つまり現在の円安は、日銀が長年続けてきたゼロ金利政策が原因だと結論づけることができる。
私たち投資家は、市場の動きを注視している。特に外国為替市場で起きていることは、各国の問題や政策における課題を明るみに出すからだ。つまり外国為替相場は、その国でどのような政策が進められ、それにより何が起きているのかを示す、一つの重要な指標なのである。 このまま円安が進行する──日本円が海外の投資家から捨てられ続ける状況にまで落ち込んだら、円が別の通貨に置き換わったり、国が新しい通貨を発行したりするなどということも起こり得るだろう。
実際、深刻な経済不況やインフレが進んだジンバブエでは、それまで流通していたジンバブエ・ドルを廃止。米ドルや南アフリカのランドといった他国の通貨の利用を経て、新たなジンバブエ・ドルが発行されている。 「日本は大丈夫」「今回は大丈夫」。私が以前から述べていることでもあるが、このような考えは間違いであることを、最後に述べておきたい。
ジム・ロジャーズ :投資家、ロジャーズホールディングス会長