beabadoobeeが語る成長とありったけの本音「音楽は私にとってマジでセラピー」
「みんな私のこと嫌いなの?」というトラウマとの戦い
―あと2つ質問があります。今回のアルバムで聞かれるのが特に楽しみな曲、もしくは逆に怖い曲はありますか? Bea:えー、怖い曲? めっちゃある(笑)。家族と際どい会話をしなきゃいけなくなるような曲もあるし、それは嫌だな……あとは過去の経験から言うと、アーティストだから曲をリリースするわけだけど、曲をリリースすることに怒る人とかさ……アーティストなのに……圧倒的に「This Is How It Went」は考えるだけでリリースがマジでめっちゃ怖いし超不安。「Tie My Shoes」はすごく重い曲で、もはやライブで演奏できるかもわからないな。「The Man Who Left Too Soon」もそうだね。すごく楽しみな曲は、怖いけどリリースがワクワクする、みたいな曲。純粋にリリースするのが楽しみなのは「Beaches」と「Real Man」かな。うーん、でもやっぱ正直に言うと全部リリースするのが楽しみ! ―アルバムの中だと、特に「Girl Song」という曲が気になりました。女性のあり方や女性の怒り、フィオナ・アップルの再評価とかと合わせて興味深い曲だと思って。 Bea:「Girl Song」は、ただただ超絶重い曲だね。アルバムの他の曲では全部ちょっとずつ希望とか許容みたいなものが散りばめられているんだけど、この曲だけはもう自分の見た目に対して絶望から抜け出せない瞬間について書いた曲。あれを書いたときは、思い返せば生理の1週間前とかだったから、まあどういう感じの曲になるか想像がつくよね。すごく自分を曝け出した曲だし、バラードなんだよね。実は自分史上初のバラードで、それもちょっと怖いんだけどさ。 ―面白いですね。一部のファンはバラードやソフトな曲を求めているようだけど、結構今回はそこから離れてるんだね。 Bea:私は意外とバラードのリクエストはあまり見ないんだけど、代わりにロックサウンドを求めてくる人がめっちゃ多い。マジで黙ってくれよって感じなんだけどさ。ロックのBeaがまた聴きたい! ロックミュージック作ればいいじゃん!ってね。てか音楽って色々あるんだけど?みたいな。マジで、一つのジャンルに固執するのなんて、想像しただけでつまんなくない? そんなのするわけないじゃん! ―Pitchforkみたいなメディアからの批評と、ファンからのフィードバックは、どっちも別問題だと思うんだけど、どう向き合ってますか? Bea:もうね……どっちもマジで死にたくなる! しかも、必ずついてくることだしね。でも自分がアルバムを好きならそれでいいって、みんなに言われるし、普段から一生懸命そう考えるようにしてるけど、それでもやっぱり影響されないって言ったら嘘になる。特に不正確なことを言われると辛い。「Beaがロックやめちゃった!」とかね。いや、普通に8月16日(※当初のリリース予定日、実際は8月9日に前倒しで発表された)まで待てよ、そんなおおごとじゃないからさ、みたいな。あとは、一番傷つくし、ちょっと悲しいのは、「昔の音楽が恋しい」って言われること。え、だって、昔の曲ってそこに存在してるじゃん?ってなるんだよね。聴くためにそこにあるじゃん、て。もうその曲を作った自分には戻れないし、同じような曲調の曲を20曲作るわけないんだしさ。結構きついときあるんだよね。でも、さっきも言ったように、一歩でも外に出て太陽を浴びたり、友達と出かけてスマホを見なかったりすると、え、やば、全部マジでどうでもいいじゃん、ってなるんだよね。 ―全員を喜ばせることはできないし、全員の意見が重要というわけじゃないしね。 Bea:いやマジでそう。マジでそうなんだけど、どうしても人に好かれたいっていう気持ちが強くて。てか、これも幼少期のトラウマからきてるわけなんだけど(笑)、常に「えーなんでみんな私のこと嫌いなの?」とか、一生気になっちゃうんだよね。その気持ちとずっと脳内で戦ってる。 ―超わかる! このインタビューは日本向けなので、特にアジアや日本のオーディエンスに対して、あなたのアルバムがどのように受け入れられることを期待していますか? Bea:好きになってもらえて、共感してもらえたらいいな。正直、何よりも、私のことを気にかけてくれて私の音楽を聴いてくれるだけでも超感謝してる。日本は私の中でもとっても大切な場所で、まあアジアの国は割とどこでもそうだし私は日本人じゃないんだけど、毎回日本に行くたびに、どこか不思議とホームのような気持ちになってくるんだよね。早くライブするのが楽しみすぎる! ―最後に、今、何を一番楽しみにしていますか? また、何に一番不安を感じていますか? 実は同じことかもしれないけど。 Bea:面白い質問だね。アルバムが出たら、自分をもっと理解できるようになってたらいいな。それに、誰がなんて言ってて、どう思ってるかとか、アルバムがリリースされた後になのが起きるかとか、そういうごちゃごちゃしたことにあんまり引き摺り込まれないといいな。不安な気持ちと同時に楽しみな気持ちが混在してる感じだけど、ただただ今の幸せが続くといいなって思う。 ―今の回答は、音楽家としてのキャリア全体にも当てはまると思いますか? Bea:そうだね。今は色んな意味ですごく居心地が良いし、バランスも取れてるし、お家にいつもいられるのも最高。だからアルバムがリリースされるとどうしても発生するギラギラキラキラみたいなことに急いで巻き込まれすぎないといいなって。 ―「成長」について話を伺ってきましたが、音楽家として、また人として成熟する中で、最も大事にしているのは何ですか? Bea:一番大切なのは、失敗から学ぶ教訓だね。アルバムを一言で表すと、それに尽きる。 ―その経験について本当はもっとお話を聞きたいけど、時間が足りないね。 Bea:いやマジで、失敗について話すには丸っともう1日必要だよね! ―あなたとあなたの音楽に特別さえを与えるのは、地に足をつけたリアルな側面と、人としての生活を大切にしていることだと思います。忙しいスケジュールの中でも楽しんで過ごせることを願っています。これからのご活躍をお祈りしています。 Bea:ありがとう! --- ビーバドゥービー 『This Is How Tomorrow Moves』 国内盤:2024年8月16日発売 歌詞対訳・解説付/日本盤ボーナス・トラック収録
Daniel Takeda