だから相続税はごまかせない…「身内が亡くなると、税務署にすぐバレる」という衝撃の事実【税理士が解説】
「相続が3代続くと家はつぶれる」という言葉は、日本の相続税の高さを表しています。税負担から逃れるべく「身内が亡くなったことなんて税務署にはわからないのでは?」「贈与してもらった財産ですと言えばごまかせるんじゃないか」と考える人もいますが、その考えは甘いと言わざるを得ません。税理士法人レガシィ代表・天野隆氏の著書『相続は怖い』(SBクリエイティブ)より一部を抜粋し、見ていきましょう。
「相続が発生した」という事実は必ず税務署に伝わる
人が亡くなると、死亡した人の本籍地、亡くなった場所または届出人(多くの場合家族)の所在地の市町村役場に死亡届を提出しなければなりません。このことについては戸籍法第25条に定められています。 死亡届を提出すると火葬許可証が発行され、火葬場でこれを提出して火葬の証明が記入されると埋葬許可証となって埋葬ができるようになります。 こうした葬儀を行うための流れと並行して、死亡届に関する情報は税務署にも通知されることになっています。 根拠となるのは相続税法第58条です。 ---------------------------------------------- 市町村長その他戸籍に関する事務をつかさどる者は、死亡又は失踪に関する届書を受理したときは、当該届書に記載された事項を、当該届書を受理した日の属する月の翌月末日までに、その事務所の所在地の所轄税務署長に通知しなければならない ---------------------------------------------- なぜこのような定めがあるのでしょうか。それは相続税を取りはぐれることがないようにするためです。 国税庁と国税局、それに全国の税務署はKSKシステムというネットワークでつながっています。ちなみにKSKは、「KOKUZEI SOUGOU KANRI(国税総合管理)」の略称です。 全国ネットワークになっているので、日本のどこかで死亡届を出せば、他の場所でも見ようと思えば見ることができます。つまり亡くなったのをごまかすことができないシステムになっているというわけです。 死亡届を出さないと火葬ができないのですから、いやでも出さざるを得ません。ご遺体を家に置いておくわけにはいかないですからね。 つまり人の死はガラス張りということです。相続が発生したという事実は必ず税務署に把握されます。 役所関係がこのことを表立って言うことはありませんが、私たちの社会の仕組みの中には「相続税を取るための視点が存在している」ということです。まずこのことを心に留めておいてください。