欧米の航空会社、旅行需要が堅調の一方で、業績見通しに暗雲、運賃値下げ圧力とコスト増で
2024年夏、世界の旅行需要が記録的な高まりを見せるなか、各航空会社は収益増を見込んでいたが、第四半期の業績は期待外れになる見通しだ。 世界中の旅行先に多くの観光客が押し寄せると見られるが、消費者は価格に敏感になっている。そのうえ、座席が過剰に供給されていることから、各航空会社は座席を埋めるために運賃を値下げせざるを得ない状況になっている。 ユナイテッド航空、デルタ航空、アラスカ航空、ライアンエアが発表した第四半期の見通しは暗いものになった。アメリカン航空とサウスウエスト航空も芳しくないと見られている。 各航空会社の幹部は、過剰供給の原因は、これまで堅調だった旅行需要に対する楽観的すぎる見方にあると認めている。 米国の旅客数は2024年、記録的な水準に達しているのは事実だ。今年最初の6か月で、米国運輸保安局(TSA)は1日平均約246万人の乗客が保安検査を通過したと発表している。これは、昨年より6%多い。 値引き圧力に加えて、新たな労働契約やリース料率およびメンテナンス費用の上昇が航空会社の営業費用を押し上げている。 アメリカン航空は今年5月、国内市場での運賃低下を理由に、第2四半期の利益の見通しを大幅に引き下げた。アナリストたちは、同航空の方針転換には時間と費用がかかると指摘している。 サウスウエスト航空は、ボーイング機の納入遅延で大きな打撃を受けており、アクティビスト投資家からはCEOの解任、取締役会の刷新、事業の再構築を求める圧力を受けている。同航空も第2四半期の収益見通しを引き下げた。 米国の航空会社は現在、座席供給量を抑制している。国内座席数の年間伸び率は、第2四半期の6%から第3四半期には3%に鈍化すると予想されている。一部の航空会社は、これによって価格決定力が高めると期待しているが、収益増にはつながる保証はない。 ユナイテッド航空は、通年の利益が1株当たり9~11ドルの予想の下限まで下がると予想。同航空のブレット・ハート社長は、投資家に対して「業界に変化が訪れているが、その変化の正確な時期と規模を予測するのは難しい」と語っている。