【MLB】ポストシーズン好調のスタントン 殿堂入りより「リングがほしい」 通算429本塁打は現役最多
主砲アーロン・ジャッジの調子がなかなか上がらないなか、ポストシーズンの戦いにおいて、ヤンキース打線をフアン・ソトとともに牽引しているのがジャンカルロ・スタントンだ。今年のポストシーズンはここまで8試合に出場し、打率.300、4本塁打、9打点、OPS1.167をマーク。2020年以来の盗塁を決め、四球(5)が三振(4)を上回っていることからもその好調ぶりがうかがえる。34歳のスタントンは現役最多の通算429本塁打を誇り、500本塁打の大台に到達できれば殿堂入りも見えてくるが、「リングがほしい」と殿堂入りよりも世界一を望んでいる。 熱戦が続くポストシーズンの日程・結果一覧 2009年以来15年ぶりのワールドシリーズ制覇を目指すヤンキース。日本時間10月19日に行われたリーグ優勝決定シリーズ第4戦に勝利し、リーグ優勝に王手をかけたが、ここまでのポストシーズン8試合でスタントンは印象的な活躍を続けている。 ロイヤルズとの地区シリーズでは、初戦こそノーヒットに終わったものの、第2戦は3回裏に先制タイムリー。第3戦では4回表に先制のタイムリー二塁打、8回表には決勝アーチを放ち、チームを勝利に導いた。第4戦でも6回表に貴重な追加点となるタイムリーを放ち、チームの勝利に貢献。4試合で打率.375、1本塁打、4打点、OPS1.132という見事な活躍だった。 ガーディアンズとのリーグ優勝決定シリーズでも好調を維持しており、初戦、第3戦、第4戦でそれぞれ一発を放った。初戦は7回裏にダメ押しのソロ本塁打、第3戦では同点弾を放ったジャッジに続いて二者連発となる勝ち越しのソロ本塁打、第4戦では1点リードの状況からの3ラン本塁打。効果的な一発でチームの勝利に貢献し続けている。 ヤンキース移籍後は故障に悩まされるシーズンが続き、500打席以上に出場したシーズンが2度(2018年と2021年)しかないものの、そのなかでも毎年コンスタントに一発を量産し、2023年には通算400本塁打を達成。今季は114試合で27本塁打を放ち、通算本塁打を429に伸ばした。マーリンズ時代に結んだ13年契約はあと3年残っており、年平均24本塁打で通算500本塁打に届く計算だ。過去にはステロイドと無縁の選手は通算500本塁打が殿堂入りの切符のように扱われていた時期があり、スタントンが通算500本塁打を達成すれば殿堂入りの可能性が議論されることになるだろう。 スタントンの通算OPS+は「136」であり、これは殿堂入りの名外野手ケン・グリフィーJr.と同じ数字。センターで高い守備力を誇っていたグリフィーJr.と同列に語ることはできないが、スタントンの打撃成績を理解するうえでポイントとなる数字の1つと言えるだろう。 ポストシーズン通算35試合で打率.270、15本塁打、33打点、OPS1.012という活躍も殿堂入りを後押しするかもしれない。15本塁打はベーブ・ルースと同数だが、ルースは15本塁打を放つのに41試合を要している。スタントンはルース以上のペースで一発を量産しており、シーズン162試合に換算すれば67本塁打、143打点ペースとなる。 一般的には「故障の多いパワーヒッター」という認識のスタントンだが、ひっそりと、しかし着実に殿堂入りへ歩みを進めているのだ。しかし、スタントンが目指すのは自身初の世界一。「リングがほしい」という願いは今年成就するかもしれない。