【定番名品シリーズ】ビギナーにも使いやすいカーディガン5選、英伊日の“ニット三国”から名品を厳選
長年にわたって作られてきた定番品は、“当たり前”の良さを持っている。誰もが日常的に使えて、しかも品格あるスタイル作りの役に立つ。そして流行にとらわれず、末長く愛用できるところも魅力的。なかでも独自の哲学を込めつつ、素材や製法にもこだわりを尽くした真のマスターピースを紹介する。 【写真】日本の職人技と“金のカシミヤ”が醸すHERILLのカーディガン 写真/青木和也 スタイリング/荒木義樹(The VOICE) 文/長谷川剛 編集/名知正登 ■ 脱ぎ着しやすく重ね着の洒落感も手軽に演出できる シャツとジャケットのみだと少々肌寒さを感じるこの頃。そこで欲しくなるのがカーディガンである。ニット素材をベースとし、前開きにて脱ぎ着しやすいカーディガンは、寒暖差のある季節にとても重宝するアイテムである。特に胸元がV型に開いたタイプは、テーラードジャケットやタイドアップの装いに合わせやすいし、そもそも前開きデザインは通気に優れた形状。日中など気温が上がったとしても、前ボタンの開け閉めにて外気の取り入れを容易に行うことができるのだ。 しかし昨今は素材やデザインのバリエーションも増え、選択に幅が出てきており、どんな一枚を買うべきか迷う人も多いという。そこでビギナーにも使いやすい代表的なカーディガンの特性を記しておきたい。中~太編みのローゲージタイプはアウターとして非常に便利。豊かな素材感や編み柄がアクセントとなり、秋冬らしい洒落感と暖かみを手軽に楽しむことができる。 また、薄手のハイゲージタイプはジャケットやブルゾンの下に着込むミッドレイヤーとして有能。着ぶくれもせず動きやすく、しかも丸首のセーターとは異なり、レイヤードによる洒落感を労せず演出できる一枚である。 いずれにしてもニットウエアは素材である毛糸の質とその扱いにより、製品に優劣がつきやすいもの。長年の歴史あるニット専業メーカーの定番品から選ぶのが失敗しないコツだ。ニットの歴史という意味では英国が断トツに長い実績を持つ。ファッション的な華やかさや軽快さを重視するならイタリアメイドが狙い目だ。そして昨今の注目株として見逃せないのが日本製。厳密な材料選びかつ職人的な縫製技術はいまや世界トップクラス。今回はそんな“ニット三国”の名品に絞って紹介していきたい。 1. ZANONE ■ 上質にしてシンプルを極めたフルボタン型 美脚スラックスで有名なインコテックスや、高品質なカジュアルシャツで知られるグランシャツなどを有するイタリアのスローウェアグループ。その実力派アパレル企業の中核を担うニットブランドがザノーネである。昔ながらの職人技に加え、近代的な工業手法をバランス良く取り入れ製造し、高品質かつ安定的であり、高機能なニットウエアを種類豊富に打ち出し人気を得ている。 特にこの中細編みのカーディガン「CHIOTO」は、糸量が多く密度の高い平編みを採用しており保温性と耐久性、それにクリーンな質感を兼備。ボタンには高価な角製のホーンボタンを用いるなど、リッチな仕立てを貫いたブランドの人気モデルだ。