イスラエル人の宿泊拒否し解雇、元支配人が京都のホテルを提訴 「ガザ攻撃に加担すべきでない」
京都市東山区の「ホテルマテリアル」で6月、イスラエル人男性が宿泊を拒否された問題で、拒否を伝える対応を行い、解雇された元支配人が11日、ホテルの運営会社ルークス(左京区)を相手に従業員としての地位確認などを求める訴えを京都地裁に起こした。 【写真】ホテルを提訴した元支配人の男性 元支配人は「男性が軍に所属している可能性があると判断し、国際法違反であるパレスチナ自治区ガザでの攻撃に加担すべきではないと考えた」と述べ、解雇は不当と訴えた。 同市在住でブラジル国籍のジェロニモ・ヴェレ・ゲレスさん(42)。訴状などによると、ゲレスさんは支配人を務めていた6月11日、男性から予約が入り、交流サイト(SNS)の記載からイスラエル軍の現役軍人の可能性があると判断。「戦争犯罪の可能性が報告されているため予約を受け付けることができない」などとメッセージを送り、男性は予約を取り消した。 その後、ネット上でこのやりとりが拡散。市は国籍などを理由にした宿泊拒否は旅館業法違反とし、同法に基づく行政指導を行った。同社はゲレスさんに「今後は個人の信条を優先させることなく業務に当たる」とする誓約書に同意を求め、できない場合は関連会社への出向を命じるとした。ゲレスさんは拒否し、7月11日に解雇された。 ゲレスさんは、信条の自由を侵害しない形で就労継続を模索すべきだったと主張。提訴後に記者会見し、「人道や国際法を守ろうとして解雇されるのはおかしい」と述べた。同社の担当者は京都新聞社の取材に「解雇は正当なものと理解しているが、訴状が届いていないので詳しくはコメントできない」とした。