長嶋氏効果で立教大が59年ぶりの日本一!世代を越えた変わらぬ魂がそこに
今の立教大に、もちろん砂押時代のスパルタはない。 だが、就任4年目の溝口智成監督は、人として成長することに重きを置き、一丸となって勝利に向かう姿勢だけは伝承されている。元リクルートで20年以上、サラリーマンとして企業向けの研修トレーニングを担当してきただけに人間教育についての経験は豊富だった。 部員数は188人。来る者拒まずの姿勢でチームは4軍まである。アスリート入試組から一般入試組まで部員のレベルは多種多様だが、溝口監督は、どの部員にも社会に出て通用する人間教育を優先している。監督就任の話をするために、寮の食堂を訪れたが、OBのスリッパもそろえず、お茶のひとつも出なかったことに唖然とした。 「大事なところで力を出せず、ここ1番で勝負弱かった。個人能力は高いが、誰かのためにという気持ちが欠けていて1球1球を大切にできなかったからだ思う」 バント練習では一人が失敗すると全員で反復練習した。 「今の子は言ったことをすぐ忘れる。だから繰り返して言うんです」 チームスローガンは「戮力同心」。1軍からスタンドで応援した4番まで全員が心をひとつにした。 それは、1957、1958年のチームと変わらぬ立教魂である。 片岡さんは、59年前と今を比べ「我々の時代はリーグ戦が最大の戦いで全国大会はおまけみたいなものだった。それくらい他の大学とのレベル差はあった。でも今は、地方大学にプロを出すような強豪校が増え、レベルが平坦化している。その中での全国優勝だから59年前の優勝よりも価値はあると思う」と評価した。 今後は、追われる立場になって秋季リーグ戦を戦わねばならない。 熊谷主将は、「全国大会で勝つのは難しいことが分かった。今日、優勝できたことは自信になるけど、秋は本当に相手が警戒してくる中で戦わないといけない。本当の強さが出ると思う」と気を引き締める。 ミスターは、そんな後輩たちにメッセージを送った。 「50何年ぶりの日本一になったけど、もっともっと高いところへ向かって行って欲しいですね」