沼津港深海水族館に聞く! 深海生物〝ブサカワ〟選手権【へんないきもの・深海魚編 vol.02】
人間にとって謎が多い深海の世界。そこにはたくさんの生物がいて、そしてなんともブサカワで愛しいい生物たちもいっぱいいます。沼津港深海水族館 シーラカンス・ミュージアムの展示解説員・山口真由さんに、カワイさ重視で水族館の人気者たちを教えてもらいました。 【写真】駿河湾に生息するブサカワな深海魚を見る(全5枚)
深海のブサカワ界トップアイドルはメンダコ
「メンダコは今、人気ナンバー1じゃないでしょうか。水族館のトップアイドルです。目が離れていて、なんとも味わい深い見た目ですよね。今日は展示がありますか? とお問い合わせも多いですね」(山口さん)。 数々の魅力的な深海生物たちのなかでも、エースのポジションを保持しているのがメンダコです。普通のタコと同じように8本の足はあるのですが、それらが膜で覆われていて、頭部が盛り上がっている感じが、パラシュートやUFO、遠い星からやってきた宇宙人のようにも見えます。大きさは20cm程度で、ちょうど手に乗るくらいの大きさです。 「皆さんが想像するのはお椀をひっくり返したような姿だと思いますが、じつは状態がいいときはペッタンコになります。タコなのに墨をはかないのも特徴です。深海は真っ暗だから黒い墨を吐いても役に立たないですよね」(山口さん)。 とっても繊細な生き物なので、常設展示をしている水族館はほぼないそうです。沼津港深海水族館 シーラカンス・ミュージアムでは見られるチャンスがあるので、気になる方はぜひ寄ってみてください。ただし、展示がない日もあるので、あらかじめホームページなどで確認すると良いかもしれません。
海底を歩いてエスカをふりふりするアカグツ
きれいな朱色をしていて、正面から見ると、離れているつぶらな瞳と、おちょぼ口がなんともかわいいのがアカグツです。体長は成長したもので20~25cm程度だそうです。 「よく赤い靴を履いているように見えるからアカグツなの? と言われますが、昔、ヒキガエルを『クツ』と言ったそうですが、赤いクツのようだということでアカグツとなったという説があります」(山口さん)。 なかでも山口さんがアカグツで注目してもらいたいのが、歩く姿と頭にあるエスカだとか。 「ヒレを使って海底を歩くように移動するのですが、その姿もユーモラスでかわいいですね。また、あんこうの仲間なので頭にエスカと呼ばれる疑似餌があって、それを振って餌をおびき寄せるのですが、アカグツのエスカはとても短くて役に立つのかな? という感じです。でもフリフリしている姿もかわいくて、水族館一の癒し系ですね」(山口さん)。 飼育はなかなか大変だと山口さんは言います。 「なかなか餌付かせるのが難しくて、食べさせるのにとても苦労しますね。いつも飼育員があれこれと工夫しています」(山口さん)。