なぜ阪神はヤクルト村上宗隆に決勝42号3ランを打たれ泥沼8連敗を喫したのか…中途半端な配球とベンチワークの消極性
6回、不振に苦しむ6番の佐藤に1点差に迫る待望の17号2ランが出た。外角ストレートを逆方向へ放り込んだが、61打席ぶりのアーチは“空砲”に終わった。高代氏は、「決して不振を脱出する兆候が見えたとは言えない」と手厳しい。 「左肘が下から出て、脇腹の前を通過している。本来ならば左胸のあたりを通ってこないといけないが、左肘が下から出ることでヘッドが下がり、インパクトの瞬間にスイングスピードが出ない。村上のスイングは、肘がしっかりと左胸前を通っている。対照的だ。そういう佐藤にとって、ヘッドが下がっても最も打球が飛ぶところ(外角ストレート)にたまたま投げてもらったと考えた方がいい。3回二死満塁でのショートフライ、8回のライトへの打球が失速したのも、最大の力の伝達ができていないから差し込まれるのだ」 不調の原因は、メカニズムの狂いではあるが、高代氏は、「100試合を超えて疲労が影響している可能性が高い」と見ている。 「昨年も後半戦の失速の原因のひとつは体力不足。なのにライト、サード、ライトと守備位置がこうもコロコロ変われば“しんどい“ですよ」 また高代氏は得点力不足には硬直化しているベンチワークにも問題があるという。 「選手任せの野球ではなく、こういう時こそベンチが動く必要があるのだが、失敗を恐れて消極的になってしまっている」 ピックアップしたのは0-0で迎えた3回の攻撃だ。 先頭の島田が内野安打で出塁。ヤクルトの高橋-中村のバッテリーは2番の山本を打席に迎え、3球続けて速い牽制球を投げた。そして初球は、様子を伺うような外角のボール。山本はヒッティングの構えをしていた。 高代氏は、「警戒されていることで、ここでサインが変わったのではないか」と読む。山本は一転、バントの構えから一発で犠打を成功させたが、高代氏は、「ヤクルトベンチとの駆け引きのあるところだったが、簡単にバントじゃ相手が嫌がらない」と言う。 結局、2つの四球が絡み二死満塁となったが、佐藤がインハイのストレートに詰まらされてショートフライに終わっている。 「打者に粘りがないのが気になる。攻撃が淡泊なのだ。勝つ野球の意識づけがちゃんとなされているのだろうか」と、高代氏が疑問に感じたのは1回と4回の攻撃だ。1回一死一塁で3番の糸原は、三球三振。最後は外角ストレートを見送った。 「引っ張って走者を進めたいと考えたのかもしれないが、相手は当然、逆を突く。投げて欲しいところには投げてくれない」 4回は二死一塁で島田がカウント2-0から外角ストレートに手を出して三塁へのファウルフライに倒れた。 「バッティングカウントなのだから難しいボールに手を出す必要はない。凡打の内容が次につながらない」と高代氏。