阪神が大山、近本、中野不在に加え矢野監督”チグハグ采配”でBクラス転落危機の3連敗…ハマスタで2勝9敗と勝てない理由とは?
阪神が横浜DeNAに同一カード3連敗を喫した。横浜スタジアムで11日に行われた横浜DeNA戦に1-4の逆転負けで貯金はゼロに戻った。大山悠輔、中野拓夢、近本光司と主力3人を欠いた打線は得点力を失い、おまけに矢野監督の采配も迷走、守備陣に綻びまで出ては勝つ要素はなかった。面子が揃うまで苦しい戦いが続くが、ここで踏ん張らねば「奇跡のドラマ」を起こすどころかBクラス転落の危機だ。
山本へのバスターサインが裏目
満員御礼のハマスタに駆けつけた虎党の歓声が2度続けてタメ息に変わる。3点を追う9回一死一、二塁からの代打攻勢。横浜DeNAは、前日に33球投げていた守護神、山崎康をベンチ入りメンバーから外していたため左腕の剛腕、エスコバーをマウンドに送り込んでいた。原口、ロハスジュニアの打球は、いずれも角度よくレフトスタンドに向かったがフェンスの手前で失速。同点3ランは幻に終わりゲームセットだ。 新型コロナの感染で、大山、中野に加え、10日のゲームから近本を欠き、将棋で言う「飛車角落ち」どころか香車まで一つ落ちての「3枚落ち」の緊急事態。代表取材した各紙の報道によると試合後に矢野監督は、「苦しいチーム状況であることは変わりないが、頭を下げて後ろ向いて背中丸めてやる野球はしたくない。こういう状況だからこそチーム一丸で戦うことが必要になってくる」と話したという。 こういう状況だからこそ必要なのは、「背中を丸めさせない」ベンチワークとなるが、矢野監督の采配は迷走した。 1-1の同点で迎えた6回である。先頭の島田がライト前ヒットで出塁すると、2番で起用した山本の初球にバスターのサイン。横浜DeNAの三塁の宮崎、一塁のソトは、それほどのチャージをしていなかった。裏をかいたわけでもない作戦はファウルとなった。 続く2球目はバントのサインに切り替わったが、山本は決めきれずファウル。矢野監督は、ここで再びバスターを試みた。バントの構えから山本は打って出たが、膝元に食い込んでくる石田のカットボールにバットは空を切った。将棋では4枚落ちする側にも定石がある。クリーンナップに続く打順なのだ。手堅く送ってよかった場面だろう。 ロドリゲスは三振。続く佐藤の2球目に島田が盗塁に成功して得点圏に進んだが、新型コロナの第7波を回避して責任を一身に背負う4番打者は、石田に定石通りに攻められ対応できない。カウント1-1から苦手のインハイにストレート。克服しかけているコースにフルスイングを仕掛けたがファウルになった。続けてまたインハイにストレート。佐藤は手が出ない。石田がストライクを確信してベンチへ戻りかけたが、ボールの判定。5球目は外角低めへカットボール。これも際どかったがボールと判定され、フルカウントから、最後は再びほぼ同じコースにカットボールを投じられて佐藤は完全にタイミングを狂わされてスイングアウト。この日の試合を象徴するかのような三者連続三振だった。