2024年度上半期 不動産売却の上場企業は32社 取引の小口化で譲渡益は7割減も、27社が譲渡益
【業種別】小売業が最多の5社
業種別では、最多がシー・ヴイ・エス・ベイエリアなど小売業の5社。経営資源の有効活用や財務体質の強化のほか、当面の運転資金や借入金返済に充てる資金の調達、キャピタルゲインを含めた譲渡価額が将来キャッシュ・フローを上回ることなどを目的に不動産を売却した企業があった。5社のうち、最新期の最終利益が赤字の企業は3社だった。 2位は、食料品の4社で、最新期の最終利益が赤字の企業は1社。多くが経営資源の有効活用や財務体質の強化を理由にあげている。 ◇ ◇ ◇ 国土交通省による2024年の都道府県地価調査(全国平均)は、全用途平均と商業地ともに3年連続で上昇し、上昇幅も拡大した。地価の上昇基調は強まっており、譲渡損を計上した上場企業の構成比は10.0%と、前年同期(11.7%)から1.7ポイント低下した。 地区別の譲渡物件は、東京都の7件を含む関東が19件で最も多く、不動産価格の高止まりが続く都市圏が中心だった。 2024年度上半期の上場企業の不動産売却は32社(前年同期36社)に減少した。企業業績の回復で資産売却の動きが減ったほか、働き方の変化による業務スペースの見直しや事業拠点の統合による不動産売却も減少した。一方、円安や人手不足によるコスト増が収益を圧迫する企業は多い。手元資金や運転資金の確保を目的に、不動産売却に踏み切る上場企業は今後増える可能性がある。