なぜホンダ新型「ヴェゼル」は純正のタイヤ銘柄が増えた? 辛口モータージャーナリストがFFと4WDの走りの進化を検証します
16インチを履くe:HEVの4WDは同乗者からも好評
今回は試乗会での限られた走行時間だったが、まず最初に乗ったのはe:HEVの4WD仕様だった。つまり、これは足まわり系は従来と変わっておらず、グレードが新たに設定されたX HuNTパッケージだったため、タイヤは16インチ(215/60R16 95H)を装着していた。 それにしても、最近のホンダ車はグレード名がわかりにくいが、HuNTパッケージは、よりSUVライクな、あるいはルーフレールなどに代表されるアウトドア指向風の装いと、撥水・揮発機能を持たせたファブリックのシート生地を採用するなど、道具感も備えたグレードということになる。 その装いはともかく、サスペンションチューニングにもタイヤにも従来から変化はない。乗ってみて、と言っても説明されなければ思い出していなかったと思うが、センターコンソール部が、従来のドライバーオリエンテッド的にドライバー席に向けた左右非対称形状から、ごく一般的な左右対称形状となり、助手席からも使いやすくなったとのこと。 どちらかといえば平凡な造形とも言えるが、物置きスペースが2段になっていたりで、ここは使い勝手を重視したということだろう。さらに穿った見方をすれば、左右ハンドル位置にかかわらず共通部品でいけるというあたりも、近年の著しいコスト上昇を考えれば、製造上のメリットにもなる。 ちなみに、このグレードでは3人乗車で試乗を行ったが、そもそもシャシーとのバランスのいい16インチタイヤ仕様に、リアサスペンションの違いから、従来からFF仕様に比べれば乗り心地が好ましかった4WD仕様ということもあり、助手席と後席に座った同乗者2名とも「これは快適」を連発。ワインディングに入ってからも「イヤな揺れも少ないし、これなら長時間ラクに乗っていられる」と好評だった。
EVとエンジンの切り替えを減らすことでストレス軽減に
ドライバーとしては、まずはワインディングに向かうまでの街中や日常域において、たしかに従来より静かになったかも、というのが先だった。EV的なモーターのみによる発進から、エンジンが発電を行う走行中のエンジンの始動/停止が煩わしいといった思いが生じなかったので、EV走行の領域が増えている、あるいはEV走行可能時間が増えている、というのは確かなようだ。 バッテリーの容量には変化がないものの、実際の使用可能な上限領域を拡大しているのが、その改良手法とのことで、これまではバッテリー容量的にエンジン始動になっていた部分が、少しEV走行でこたえるようになった。そのかわり、エンジンが始動してから停止に至るまでの時間は増えることになるが、その切り替え数が減ることで、忙しく音や振動が変化、増加するといったことが減っているのが、乗員、とくにドライバーのストレス低減につながりそうだ。