《甲子園も酷暑対策》開幕3日間のみ「1日3試合」大会史上初となる朝と夕方の二部制を導入「選手が安全に試合を進められるように」
2024年8月1日、夏の全国高等学校野球選手権大会(以下、高校野球)の聖地「阪神甲子園球場」が開場100周年を迎える。高校野球といえば、毎年、敗退した学校の選手が土をかき集めて持って帰る姿を見たことがあるはずだ。あれは一体いつから始まった文化なのだろうか? 【画像】阪神甲子園球場のツタの品種
最初に土を持ち帰ったのは誰?
そもそも球場の土を持って帰るのは、“高校野球に出場した証”を残すためだといわれている。自宅に土を飾っている元・甲子園球児たちも多いというが、この文化が始まったのはいつごろなのか。 「諸説あるので断言はできませんが、1937年の第23回夏の中等学校野球(現・全国高等学校野球選手権大会)の際に、熊本工業高校の川上哲治さんが最初に持ち帰ったといわれています」と球場関係者は話す。 ちなみに、土の種類については、野球のしやすさを考慮して日本全国から厳選しており、春と夏で混ぜる土の割合を変えているのだとか。
シンボルとなる「ツタ」が植えられたのも100年前
阪神甲子園球場のシンボルといえばツタで覆われた外観だが、これは2006年の「平成の大改修」と呼ばれたリニューアル工事に伴い大部分のツタが伐採されたのち、2009年に再度植栽が始まり、現在にいたる。 あまりお金をかけずに外観を装飾する方法として、1924年の秋から年末にかけてツタを植栽したのが始まりなのだそうだ。 「“ツタで覆われた外観こそ阪神甲子園球場だ”と感じる方もいると思うので、今もなおツタの植栽をしているんです」と球場関係者はいう。 なお、改修前のように球場全体をツタが覆うようになるにはまだ時間がかかるそうだ。これからの阪神甲子園球場の盛況とともに、ツタの成長も引き続き見守っていきたい。
2024年の高校野球はどうなる? 3日間限定で朝・夕の二部制に
これまで数々のドラマを生み出してきた高校野球だが、一方で、近年の酷暑により選手が熱中症を訴えるという問題もあった。その対策の一環として、2024年の大会は朝と夕方に分けて試合を行う二部制を開幕から3日間限定で導入することが決定した。 では、二部制の導入までにはどのような経緯があったのか。導入を決めた日本高校野球連盟 事務局長の井本亘さんにも話を聞いた。 「従来から熱中症対策として、医師と理学療法士によるサポート、ミネラルウォーターやスポーツドリンク、氷など飲料の準備を実施してきましたが、さらなる熱中症対策として、2023年から『クーリングタイム』を設けました。 ですが暑さは増すばかりなので、これに加え、2024年は一部の日程(1日3試合日の3日間)で、暑い時間帯を極力避けるために二部制を導入。準決勝、決勝の試合開始時間も早めることにしました」 昨今、コロナ禍や酷暑など未曾有の事態に多く見舞われている。それを踏まえて井本さんは、今後の高校野球の運営について次のように語る。 「試合をした代表校や学校応援団への影響、観客の入れ替えに関する安全性、大会運営スタッフへの影響など大会後にさまざまな角度から検証して、とにかく安全に試合が進められるよう、2025年以降はどういった形がいいのかを引き続き模索していきたいと考えています」 いつも日本の夏を盛り上げてくれる高校野球と阪神甲子園球場。これからも110年、120年と長きにわたり、私たちに勇気と希望を与える存在として輝き続けてほしい。 取材・文/西脇章太(にげば企画) サムネイル/Shutterstock
西脇章太(にげば企画)