「恋をすると異常な精神状態になる」“完璧な女性”が抱える秘密と男女の関係。柴門ふみWEB初連載作品〈漫画家インタビュー〉
女はナンバーワンになりたい。男は相手を惚れさせたい
──先ほど、由希と内縁の夫・マコト、そしてあんなの三角関係を匂わせるような発言がありました。男性と女性の恋愛観の違いについてもお話を伺えますか? 男性はある程度年齢を重ねても、年下の女性を好む傾向にある気がしますが、いかがでしょう。
柴門:確かに、若い女性が好きな男性は多いですよね。逆に女性は、「男は若ければ若いほどいい」なんて思いませんよね。 ──いくつになっても若い女性と付き合える。そういう自信があるのでしょうか。 柴門:自分が見えていないのかもしれないですね(笑)。恋愛する時は、目の前に鏡があるわけじゃありません。顔に深いしわが刻まれていても、自覚しないじゃないですか。20代の女の子を前にすると、自分も20代のような気持ちになるんでしょうね。 ──年配の女性が若いアイドルに熱狂するのは微笑ましいですが、男性の場合、どこか生々しさがありますよね。 柴門:女性は「キャー!」とはしゃいでも、はるか年下の子と恋愛に発展するなんて思わないじゃないですか。そこから先はないのがわかっている。だからキャーキャー言えるのかもしれません。 男性は、どこかにまだ下心があるんでしょうね。ひょっとしたら何かあるかもしれないから、カッコつけて「キャー!」とは言えない(笑)。ワンチャン狙っているので、イケオジ風を気取ったり、ガツガツしていないように見せたり、気前よくお金を払ってみせたりするのかもしれないですね。 ──アイドルの推し活にお金を使っている女性に話を聞いたら、「ライブに行くのはアイドルに会いたい気持ちもあるけれど、会場が埋まっていないとその子がかわいそうだからという応援の気持ちがある」と話していました。男性の場合、会いたい、つながりたいという気持ちが強そうです。 柴門:ホストにお金を費やす女性も、「この子をナンバーワンにしてあげたい」という気持ちからですよね。「結婚したい」「恋人になりたい」という気持ちより、「育てたい」という思いが強い。あとは、「私が一番の上客」と思うことでプライドが保たれるんでしょうね。 宝塚歌劇団の追っかけにも、彼女たちの間で序列があるじゃないですか。それと同じで、相手にとって一番のお気に入りになるというところにステータスを感じるのでしょう。 ──男性にはあまりない感情なのでしょうか。 柴門:男性は違いますよね。「このホステスの一番のパトロンになりたい」なんて思わないでしょう? とりあえず自分の愛人にはしたいけれど、他の男からお金をもらっている匂いがしたら、むしろ嫌になりそう。お金目当てでチヤホヤされるより、やっぱり自分に惚れさせたいわけですよ。 女性は相手が自分に惚れてくれなくても、自分がナンバーワンのポジションを取りたい。男性は相手を惚れさせたい。こういう違いを漫画にしても面白いかもしれないですね(笑)。 ──面白そうです(笑)。 柴門:不倫している男女を見てもそうですよね。本妻と愛人が「どっちが一番なのよ」と男性を取り合うケースが多いじゃないですか。男性が人妻と不倫をしても、「旦那と俺、どっちを取るの?」なんて言いません。むしろ「離婚なんてしないで、旦那とも俺ともうまくやろうよ」って。そのあたりも男女差がありますよね。