「恋をすると異常な精神状態になる」“完璧な女性”が抱える秘密と男女の関係。柴門ふみWEB初連載作品〈漫画家インタビュー〉
6月から、恋愛漫画の巨匠・柴門ふみさんが新連載をスタート。『いつも犬が居た』を共通タイトルに、3媒体で異なる作品を同時連載する。そのうちのひとつが、「ダ・ヴィンチWeb」で始まる『いつも犬が居た~夫のヒミツ~』。仕事ができ、誰からも愛される50歳の美しい女性を主人公に、彼女の波乱万丈な日々を描き出していく。 【漫画】柴門ふみ最新作『いつも犬が居た~夫のヒミツ~』を読む
今回、連載開始のタイミングで柴門ふみさんにインタビューを実施。作品の見どころはもちろん、男女の恋愛観の違いについてディープに語ってもらった。
夫に作られたセレブ女性が、本来の動物的な自分に気づいていく
──このたび『いつも犬が居た』という共通タイトルで、3媒体同時連載がスタートします。「ダ・ヴィンチWeb」で連載されるのは『いつも犬が居た 夫のヒミツ』という、一風変わったカップルが登場する漫画です。この作品が生まれたきっかけを教えてください。
柴門ふみ(以下、柴門):大型犬を描こうと思ったのが出発点です。紙&WEBマガジン「毎日が発見」では、我が家で飼っているコーギーのコミックエッセイを描きますし、「毎日が発見ネット」の連載ではポメラニアンが登場するんですね。中型犬と小型犬を描くので、「ダ・ヴィンチWeb」は大型犬にしようと思ったんです。そこで、ゴールデンレトリバーを描くことにしました。 主人公である由希の人物像も、そこから考えていきました。大型犬を飼えるのはセレブだと思います。そこで、今の日本で考えられる範囲でのセレブ女性を登場させることに。由希は、タワーマンション暮らしで、仕事もできて美人。いわば、すべてを手にした女性です。ただ、こうした女性がひとりで大型犬を飼うことはできないので、内縁の夫を登場させることにしたんです。 ──女性ひとりでは、ゴールデンレトリバーを飼うのは難しいんでしょうか。 柴門:私の知り合いに、ゴールデンレトリバーを2頭飼っている女性もいますけどね。でも、人生を犬に捧げないと無理(笑)。運動量も多いので、男性の力がないと大型犬を飼うのは難しいでしょうね。 ──そんな由希は、夫にプロデュースされて完璧な美女を演じています。50歳で老舗出版社初の女性役員になった彼女に、今後どのような出来事が降りかかるのでしょうか。 柴門:この後、由希とは対照的なあんなという女性も登場します。片やすべてを手に入れたセレブ、片や成功を夢見る若くて貧しい女の子。そこに由希の夫・マコトも関わってきます。まぁ、どういう関係かは察してくださいね(笑)。 こうして、とてつもない困難に見舞われた由希が、自分を発見していく物語です。今までは夫に言われるがままにプロデュースされてきた由希ですが、自分の生き方を見出していく。大型犬という動物と対峙する中で、作られた自分から本来の自分にどんどん気づいていくんですね。都会の作られた女が、自分の動物的な部分に気づく話にしようと思っています。