【インドネシア】ローソンが不採算100店閉店 7~9月、コンビニ市場は好調も
インドネシアで地場コンビニエンスストア大手の傘下企業が運営する日本のコンビニ「ローソン」が、7~9月に総店舗数の15%に当たる100店超を閉店していたことが12日、分かった。インドネシアのコンビニ市場は、ローソン運営会社の親会社を含む地場大手2社がけん引して右肩上がりで成長しており、早期の不採算店閉鎖と出店計画の見直しを図っているもようだ。またインドネシア証券取引所(IDX)に上場する主要小売企業18社の2024年1~9月期決算は、14社が増収、10社が増益・黒字化となり堅調だった。 「ミニマーケット」と呼ばれるコンビニ形式の小型店「アルファマート」を展開する大手スンブル・アルファリア・トリジャヤの子会社で、ローソン運営会社を傘下に持つミディ・ウタマ・インドネシア(MIDI)の1~9月期決算資料によると、9月末時点のローソンの店舗数は前年末比79店減の595店(路面店が375店、店舗内店舗が220店)となった。 店舗数増減の内訳は路面店が6店増(新規開店が63店、閉店が57店)、店舗内店舗が85店減(新規開店が20店、閉店が105店)だった。四半期ベースで見ると、6月末の696店から100店以上減少した。 ミディ・ウタマ・インドネシアが70%出資するローソン運営会社ランチャル・ウィグナ・スジャトラは2023年に出店ペースを急拡大し、同年末時点のローソン店舗数は22年末比482店増の674店となった。24年の出店計画は路面店50店、店舗内店舗200店を掲げていた。 だが地元メディアなどによると、ランチャル・ウィグナ・スジャトラは4~6月期に400億ルピア(約3億9,100万円)の赤字、7~9月期には720億ルピアの赤字を計上した。採算が見込めない店舗内店舗を中心に大量閉店しており、10~12月期にもさらに店舗を閉鎖するという。 ミディ・ウタマ・インドネシアは23年通期決算の発表時に、ローソンの出店には潜在性があるが、新店舗の投資回収期間は約3年半かかるため出店先を見極めて収益性を最優先する必要があると説明していた。 一方同社の1~9月期の業績は2桁の増収増益と好調で、ローソンの大量閉店の影響は受けていないもよう。8月にはミディ・ウタマ・インドネシアが展開するミニマーケット「アルファミディ」の店舗内にフレッシュジュースやアイスクリームなどを販売する売店「ジャディ(Ja―di)」の設置を開始。年内に50カ所設置する計画だという。収益性が見込めれば一気に拡大するとしている。 アルファミディの9月末時点の店舗数は、前年末比129店増の2,361店となった。 ■コンビニ大手2社、1~9月期は増収増益 アルファミディやローソンの運営会社を傘下に持つスンブル・アルファリア・トリジャヤによると、同社グループ全体の9月末の店舗数は前年末比945店増の2万3,255店となった。出店ペースは、22年と23年の9月末時点の店舗数がそれぞれ前年末比1,205店増、1,361店増だったのと比べると減速した。 同社の1~9月期の連結売上高は前年同期比10.2%増の88兆2,171億ルピア、純利益は9.5%増の2兆3,988億ルピアと好調だった。 アルファマートと業界首位を争っている、ミニマーケット「インドマレット」を展開するインドマルコ・プリスマタマの1~9月期決算は、売上高が前年同期比7.3%増の83兆5,939億ルピア、純利益が99.5%増の1兆8,581億ルピアと堅調だった。 ■専門店と百貨店の売り上げは明暗 スペインのファッションブランド「ZARA(ザラ)」や英小売り大手マークス・アンド・スペンサー(M&S)などを中心に、グループ全体で150以上のブランドを展開するミトラ・アディプルカサ(MAP)の1~9月期決算は、売上高が前年同期比16.1%増の27兆6,161億ルピア、純利益は8.2%減の1兆3,000億ルピアだった。 同社が強化している東南アジア事業が増収要因となった。海外売上高はインドネシアに次ぐ事業規模のフィリピンが59.3%増、ベトナムが23.8%増、タイは2.3倍などとなった。海外の売上高構成比率は16%となり、前年同期から4ポイント増えた。 MAPに代表される専門小売店が軒並み増収となる一方、百貨店のマタハリ・デパートメント・ストアとラマヤナ・レスタリ・セントサの1~9月期決算は、ともに減収減益となり業態別での明暗が分かれる展開が続いている。