「夜中に3回以上起きたら死亡率2倍」“夜間頻尿”を改善!医師が教える「尿活トレーニング」
軽い運動で尿ライフが快適に
おしっこに関する病気の治療法として、一般的なのは投薬治療。 「例えば女性に多い過活動膀胱なら、膀胱の神経過敏を抑える薬、漢方薬などが処方されます。近年は磁気を骨盤周囲に当て、急な尿意を起こりにくくする治療法も開発されています」 過活動膀胱や尿失禁、頻尿、排尿困難、残尿感に関しては自分でできることも。 「これらの症状は、膀胱の筋肉がしなやかさを失うことが一因。そこで衰えた膀胱の筋肉を動かすトレーニングを行うと、症状の軽減に役立ちます。 といっても、膀胱の筋肉そのものは意図的に動かせませんから、下腹部や太もも、体幹の筋肉を鍛えるといいでしょう。それで膀胱の筋肉も間接的にストレッチされ、柔軟性が高まります」 具体的には、体幹を鍛えるプランク、下半身を鍛えるスクワット、あおむけに寝て膝を立てた体勢で肛門の筋肉に力を入れて10秒ほど引き締める骨盤底筋体操などを実践するとよい。 「旭川医科大学で行われた研究でも、運動習慣は尿トラブルの改善に役立つことが実証されています。その研究では、800人の参加者が3か月間、週に1度、1時間半程度のレッスンに参加。 参加者が行ったのは柔軟体操などの軽い運動ですが、それだけでも過活動膀胱や頻尿の症状が軽減しました。運動は生活習慣病の予防にもなりますから、ぜひ取り組んでみてください」
毎日取り入れたい「快尿食」
十分にためて、スッキリ出し切るという“快尿”は食事も影響する。 「快尿を促す成分の主役は、一酸化窒素の材料となるアルギニン、シトルリンです。一酸化窒素は膀胱に柔軟性を与え、気持ちいい排尿を与えてくれます」 アルギニン、シトルリンを多く含む食品を意識して、積極的に摂取したい。 「アルギニンは多くのタンパク質食品に含まれます。肉類であれば、鶏ムネ肉、豚ヒレ肉、牛モモ肉など。エビやホタテ、イワシなどの魚介類にも多く含まれます。それから種子類、豆類などにもアルギニンを多く含む食品はあります。 一方で、シトルリンを多く含む食品は、主にウリ科の植物に限られる。中でも“シトルリンの王様”といえるのはスイカ。単独で食べてもよいですが、組み合わせで食べるとなおよしです。例えばゴーヤチャンプルー、スイカと豚肉の炒め物などは最強です」 快尿食に加え、サプリメントや漢方薬を服用するのも一つの方法。泌尿器科を受診した際にでも医師に相談してみてもよいだろう。 和式トイレは好都合!排尿時の体勢は“横綱の土俵入り” 膀胱炎の原因菌(大半が大腸菌)は、たいていは外尿道口から侵入する。膀胱炎は圧倒的に女性がかかりやすい感染症。女性の身体は尿道が短く、外尿道口から入った菌が膀胱にまで侵入しやすい。 そこで、“横綱の土俵入り”のように、足を大きく開いて便座に座ると、お尻と外尿道口の距離が離れ、菌の侵入を防ぐことができる。和式トイレのときのようにしゃがむのは好都合。 女性の4倍!男性も気をつけたい膀胱がん 膀胱がんは、50~70歳に多く発症し、女性より男性のほうが4倍ほども罹患率が高いがん。膀胱がんは、化学物質によるがん。喫煙のほか、加工肉に使用される化学物質ががんリスクを高める一因と考えられている。 膀胱がんは多くの場合、初期に血尿が出るので、1度でも血尿が出たら、迷わずすぐに病院へ。