1年目から年収2000万、当直もナシ…直接「美容外科」に就職する医学生が急増している!
どこで診てもらうか、誰に診てもらうかで、文字通り運命が決まる。知っている人だけが幸せになれる、優れた医療の「条件」とはなにか―一流の医師たちが明かした。 【写真】医者が明かす「痛い死に方ランキング」ワースト50 特集『最高の病院 危ない病院』第4回特集『海外では事故も……欧米ではエクソソームは規制の対象なのに「日本では治療を受けられる」深刻な闇』よりつづく。
1年目から年収2000万
「就職先の病院を選ぶとき、迷わず今の美容外科クリニックに決めました。だって1年目から年収が2000万円近くて普通の勤務医の2倍以上ですし、面倒な当直もありませんから。せっかく苦労して医学部を卒業し医者になったんだから、なるべくコスパがいい職場で働きたいと思って何が悪いんですか?」 国立大学の医学部を卒業し、昨年4月に都内の大手美容外科クリニックに就職した20代の男性医師は、本誌の取材に対してこう答えた。 今、医学界で「直美(ちょくび)」と呼ばれる人々が急増している。直美とは「直接美容外科」の略称で、6年間かけて医学部を卒業し病院での2年間の臨床研修を終えた後、保険診療をほとんど経験せずそのまま美容外科クリニックに就職する医師を指す。最近では年間に約200人、大学2校分の医学部の定員と等しい数の学生が、直美を選択しているのだ。 この状況に対して、日本美容外科学会理事で北里大学病院形成外科・美容外科主任教授の武田啓氏は警鐘を鳴らす。 「直美が増えているということは、裏を返せばそれ以外の診療科に進む医師が減っていることを意味します。この流れが拡大していけば、やがて日本の保険診療を支えている内科医や外科医がどんどん減っていき、誰でもどこでも医療を受けられる時代は終わってしまうでしょう。特に医師不足で悩んでいる地方ではそのうち、必要な手術すら受けられないまま亡くなる人が出てくるかもしれません」 おそらく大学に入学した当初は美容外科という選択肢を考えていなかった医学生たちが、なぜ直美を選んでいるのか――その背景には、日本の医療が抱えている根本的な問題がある。