1年目から年収2000万、当直もナシ…直接「美容外科」に就職する医学生が急増している!
「大変な外科はイヤだ!」
「彼らは臨床研修の頃から、先輩の医師たちが過酷な環境で働いているのを目の当たりにしています。だから外科など仕事が大変な診療科を敬遠し、相対的にラクな美容外科を選ぶ傾向が強くなっている。敬遠された診療科はますます志望者が減っていくので人手不足となり、さらに負担が増すという『負のスパイラル』が生まれつつあります。 加えて美容外科クリニックの施術は基本的に自由診療であるため、普通の病院よりも儲かるし医師の給料も高い。コスパやタイパを重視する最近の若者と、新卒のうちから優秀な人材を青田買いし手元に確保して、自社の社風に染めたいクリニック側の思惑がマッチしているのでしょう」(以下、「 」内は武田氏) ラクな仕事とカネを目当てに、臨床経験を大して積まないまま美容外科クリニックに就職する若い医師たち。2年しか医療の現場を経験していない彼らの中には、未熟な者も少なくない。 「おそらく就職したばかりの医師たちは、クリニックでもメスを使わない非外科的な治療を主に担当するのでしょう。しかし簡単に見える縫合ひとつとっても、綺麗に仕上げるためには巧みな技術が求められます。2年間の研修だけでは当然、不十分な部分も出てくるはずです。 一人前の美容外科医になるためには、約10年が必要だと言われています。臨床研修の2年を経て、基盤となる形成外科などの専門医の資格を取るまでに4~5年かかり、そこから美容分野を2~3年学んでようやく一人前になれる。初めからラクな職場を選んで、はたして医師としてスキルアップできるのでしょうか」 このまま直美が増え続ければ、日本の医療制度は崩壊しかねない。引き続き、後編記事『このままでは日本の医療は崩壊する…「直美」急増の先に待ち受ける「最悪の結末」』にてレポートしていく。 「週刊現代」2024年11月30日号より
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