売れるクルマがないと叫ばれる日産、しかし「技術の日産」として歴史的な名車を数多く生み出した
スカイラインは継続したが、一時、インフィニティのバッジをグリルにつけるなど、日産を代表する車種であるという価値を手放したことがあった。 セド・グロがフーガとなり、スカイラインが日産ではなくインフィニティのバッジを使ったあたりから、日産車を選ぶ意味が薄れだしたように思う。 一方で、ルノーとの提携を通じて新たに技術の日産を世に示したのは、電気自動車(EV)「リーフ」の発売だ。 1990年から世界的にEVの模索は行われてきたが、本格的に量産市販を実行したのは、三菱自動車工業の「i-MiEV」と日産リーフという日本のメーカーであった。
今となれば、排出ガスゼロというゼロ・エミッションの重大さが評価されるが、2009~2010年当時はまだ、市場にその意味深さが浸透していなかった。1990年に、アメリカ・カリフォルニア州でZEV(ゼロ・エミッション・ヴィークル)法が施行されて20年近くも経っていたにもかかわらず、である。 ■先見の明、時代に先駆けてEVへ転換 時間を要した背景にあるのは、リチウムイオンバッテリーの実用化と普及を待つ必要があり、それまでの鉛酸バッテリーはもちろん、ニッケル水素バッテリーでさえ、EVには不十分だった。そのとき、いち早くリチウムイオンバッテリーの研究開発を行ったのが、日産と三菱自だった。技術の神髄を見抜く力は衰えていなかったが、世の中がそれに追従できなかったのである。
なおかつ、充電を含めたEV利用の仕方が、エンジン車やハイブリッド車と異なることを日産は見抜いていたが、世間が理解せず、大手媒体や行政が、充電基盤整備のあるべき姿を誤解し、不手際をもたらした。それは未だに解消しきれず、急速充電器の整備に多くの目が注がれている。しかし為すべきは、普通充電の整備であり、自宅や勤務先での基礎充電と、出先での目的地充電の充実である。 欧米は、遅ればせながらEVへの投資を試みたが、充電基盤整備の仕方を同じく見誤り、普通充電を基本としたEVの使い方にも知見が不足し、投資を見直す事態に陥っている。それは、単に中国のより安価なEVの出現のせいばかりではない。
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