売れるクルマがないと叫ばれる日産、しかし「技術の日産」として歴史的な名車を数多く生み出した
「サニー」も、レースでの活躍が人気を牽引し、より上級な雰囲気や装備を備えた「カローラ」ではなく、サニーを選ぶ理由がそこにあった。クルマ好きが選ぶのがサニーだと評価された。 トヨタ「スターレット」に対抗した小型ハッチバック車が、日産「マーチ」である。海外では「マイクラ」と名付けられ、大衆車の1台として存在感を得ている。初代は、ラリー競技向けに、ターボチャージャーとスーパーチャージャーの両方を装備するマーチRという車種を設け、リッターカークラスと分類された小型ハッチバック車でさえ、高性能化の技術を盛り込んだ選択肢を出現させて、技術の日産ぶりを発揮した。ルノーと提携後の3代目は、欧州車風の走りに加え、色とりどりの外装色や外観の独自性などで高い人気を得ている。
そして日産を代表するスポーツカーが「フェアレディZ」だ。オープンカーのフェアレディから、ファーストバックのスポーツカーとして1969年に誕生して以降、日本はもとよりアメリカでそれぞれの世代が人気を博し、伝説的ともいえる存在感を今日も持つ。トヨタからは1967年に「2000GT」が先に登場しているが、そちらは1代限りで終わっている。 市場動向や競合の様子などを加味しながらも、トップダウン的に技術を押し出して商品性を高めてきた日産の各車は、それぞれに人生の思い出と深く関わりを持つことが多いのではないだろうか。
■セドリック/グロリア、そしてフーガへ そのなかには、「セドリック」と「グロリア」も含まれるだろう。セドリックは日産の最上級4ドアセダンであり、グロリアはプリンスから販売される競合車であった。それは両社の合併により、セドリック/グロリアという兄弟車種の関係になった。両車は、のちにまったく同じ車体やエンジンの仕立てになったが、それぞれの車名を残す形で存続し続け、“セド・グロ”と呼ばれ親しまれた。ただ、ルノーとの提携後、「フーガ」に名を改めることになる。
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