ナイキ 、9年ぶりにデジタル事業売上が減少。D2C戦略の有効性問われる
ホカやオンなど競合他社の台頭
ナイキは2月、広範なリストラの一環として、現在の従業員の2%にあたる1500人以上を削減すると発表した。最高財務責任者(CFO)のマシュー・フレンド氏は昨年12月、この計画には「品揃えの簡素化、自動化とテクノロジー活用の拡大、組織のスリム化、および規模の活用による効率性の向上」が含まれると話した。 アナリストたちは、同社が苦境を乗り越えるには、コスト削減以上のものが必要であり、需要の低迷を補うには製品のイノベーションが鍵になると指摘する。資産管理会社ウェドブッシュ・セキュリティーズ(Wedbush Securities)のエクイティ・リサーチ担当シニア・バイス・プレジデントであるトム・ニキッチ氏は、同社のD2C推進について、「彼らは販売場所に集中しすぎて、何を売っているのかという焦点を見失っていた」と最近のメモに記している。 同様に、ジェーン・ハリ&アソシエイツ(Jane Hali & Associates)のシニア・リサーチ・アナリストであるジェシカ・ラミレス氏も、特に競争の激化を考慮すると、ナイキの製品ラインナップについて、「非常に懸念されている」と米モダン・リテールに語った。 長年にわたり、ナイキのおもな競争相手はアディダス(Adidas)だったが、今ではほかのランニングシューズメーカーも勢いに乗っている。ホカとオン両社の売上高は、直近の四半期で前年同期比21.9%増だった。ブルックス・ランニング(Brooks Running)は2023年度に12億ドルと(約1818億円)いう記録的な売上を達成した。一方、アディダスは3月13日、不本意な業績から立ち直り、2026年までに2ケタ成長を達成する計画を明らかにし、それを示すため、社是を「Impossible is nothing(「不可能」なんて、ありえない。)」から「You got this(大丈夫、いける。)」に変更した。 ラミレス氏は、「ほかの企業はみな、準備万端で、すぐに行動に移せる状態のようだ」といい、「我々には、ナイキ自身の新しいテクノロジーを必要としている。我々はそれを長い間見てこなかった」と話した。