森保ジャパンの陰のテーマとは? W杯予選でダントツ首位でも浮かび上がる“やらなければいけないこと”
9月に始まった北中米W杯アジア最終予選。日本は9月シリーズで中国に7-0、バーレーンに5-0と破竹のスタートを切り、10月シリーズもサウジアラビアに2-0、オーストラリアには引き分けたものの勝ち点1を上乗せした。最終予選10試合中の4試合を終えて3勝1分け、勝ち点10。勝ち点5で並び、得失点差で2位、3位、4位につけるオーストラリア、サウジアラビア、バーレーンを大きく引き離し、盤石のグループ首位に立っている。「攻撃的3バック」が叩き出している得失点差+14という数字は海外からも驚きの目で見られている。カタールW杯出場国であるサウジアラビア、オーストラリアとの連戦で見えてきたものは何か。
敵地でのサウジ戦で見せた日本代表の真の強さ
10月10日、日本は過去3戦全敗(3試合とも0-1)しているジッダでサウジアラビアとの戦いに挑んだ。事前の予想は3バックのミラーゲーム。ところが蓋を開けてみればサウジのロベルト・マンチーニ監督が採用したのは4-3-3だった。立ち上がりはこの陣形に対し、慎重にアジャストしながらのプレーとなった日本だが、前半14分に先制したことで主導権を握りながらの試合運びとなった。 日本が成長を見せたのはこの後だ。4バックの前にアンカーを置いてロングボールを繰り出し、ボランチが縦横無尽に立ち位置を変えるなど、捕まえにくい動きをする相手に手こずりながらも、割り切る意識も持ちながら要所を確実に抑えた。 この試合で攻守に存在感を見せた守田は「前半も後半も、少なからず相手の意図する形を作られたと思うけど、最後粘ったり、がんばってスライドしたり、クサビやエアバトルなど、アジアカップの時に1対1のデュエルで負けていたところの改善は見られたと思う」と言い、日本の成長の手応えを感じ取っていた。 アジアカップでは、フィジカルを前面に押し出し、ロングボールやハイクロスを駆使する中東勢のイラク、イランに屈してベスト8で敗退した。それから9カ月。最終ラインの板倉滉、谷口彰悟、町田浩樹はもちろん、中盤や攻撃の選手たちもアジアカップで出た課題に向き合い、確実に改善していることが、サウジという骨のある相手との戦いではっきりと現れた。 プレッシャーのかかる中でミスが減ったという指摘もある。この試合の印象について、17年(ハリルホジッチ監督、本田圭佑キャプテン)と21年(森保監督、吉田麻也キャプテン)にジッダでのサウジ戦を経験している元日本代表MF原口元気(浦和)に意見を求めると、このように語った。 「独特な雰囲気とか、暑さとか、W杯が懸かっているとか、一番強いライバル国という部分で、あの地で2―0で快勝するのは本当に力がついたと思う。『こういう時にはこうプレーする』という部分でエラーが減っている。日本代表ですらああいう厳しい戦いになるとミスが出ることもあったと思うが、変なミスが確実になくなった。選手の質(が上がった)かなと思う」 サウジ戦、日本は後半に小川航基が追加点を決めて2-0で快勝した。ボール保持率で上回られた相手に対してチャンスを逃さずゴールを奪い、過去3試合で1点も取れなかったジッダで手にした初勝利は、日本が一段階上の強さを身につけた印象を与えるものだった。