森保ジャパンの陰のテーマとは? W杯予選でダントツ首位でも浮かび上がる“やらなければいけないこと”
大勢に影響することなく教訓を得られたドロー
ただ、試合全体でいえば後半17分にオウンゴールを献上してオーストラリアに先制を許したが、日本はここでも底力を見せた。途中出場の中村敬斗が覚醒感すら漂わせる鮮やかなドリブル突破を連発してチャンスをつくり、後半31分、今度はオーストラリアのオウンゴールを誘発して1-1。日本はせめあぐねながらも追いつき、“最低限”の勝ち点1を手にするという、強豪と呼ばれるチームが見せる典型的な試合をした。攻撃面で持ち味を発揮しきれなかった田中もイングランド移籍で守備強度を上げている姿を披露していた。 第2次森保ジャパンで前線の要の1人となっている南野拓実はこのように言う。 「前半が終わったとき、『これくらいピリピリする試合がいいよな』という話をしていた。相手も死に物狂いで食らいついてくるこういう試合が自分たちを成長させてくれると思う」 最終予選の戦いでダントツの位置にいる日本が、W杯本大会までの間に外的要素によってヒリヒリした試合をする機会はほぼない。その中でいかに自分たちで刺激し合い、高め合っていけるか。アジア予選でどれだけ絶好調でも本大会ではまったく別次元の戦いが待っているからだ。 日本にはケガで離脱中の冨安健洋(アーセナル)や伊藤洋輝(バイエルンミュンヘン)がいる。攻撃陣では欧州随一の得点実績を誇る古橋亨梧(セルティック)、ブンデスで今季目覚ましい活躍をしている町野修斗(ホルシュタイン・キール)もいる。 10月シリーズの2試合で起用されたのは招集された27人中17人。出番のなかったベンチメンバーの起用も含め、森保監督がチーム内で刺激を与え合う環境をいかにつくっていくかが、陰の大きなテーマとなっていく。
矢内由美子