日銀が追加金融緩和 黒田総裁「マイナス金利や量的拡大は限界ではない」
日本銀行は29日、金融政策決定会合を開き、上場投資信託(ETF)の買い入れ額を現行の年間3.3兆円から6兆円に増額する追加金融緩和を決定した。企業および金融機関の外貨資金調達環境を安定化するための措置も実施するが、マイナス0.1%の政策金利や金融市場の調節方針については、従来のままとした。 【写真】長期金利、初のマイナス!? そもそも長期金利ってどうやって決まるの?
現時点で「最も有効かつ適切な政策」
決定会合後に会見した黒田東彦総裁は、「英国のEU離脱問題や新興国経済の減速により、国際金融市場で不安定な動きが続いている」などと現状を説明。「前向きな経済活動をサポートする観点からこの度の措置を決定した。現時点で最も有効かつ適切な政策であると考えている」と述べた。 マイナス金利の引き下げは限界に来ているのではないかとの指摘に対して、黒田総裁は「マイナス金利や量的拡大が限界に来ているとは考えていない。マイナス金利は、1月に決定して以来、市場に受け入れられてマーケットもうまく機能するようになってり、効果は非常に大きい」との認識を示した。 日銀は同日、「経済・物価情勢の展望」(展望レポート)も発表した。この中で、日本の景気については、「新興国経済の減速の影響などから輸出・生産面に鈍さがみられるものの、基調としては緩やかな回復を続けている」。一方、日銀が目指す物価上昇率2%の達成は2017年度中になるとしたが、「先行きの海外経済に関する不透明感などから不確実性が大きい」とする。 こうした状況を踏まえ、日銀は次回の金融政策決定会合で、これまで実施してきた政策について、総括的な検証を行う。黒田総裁は、「3年3か月前に量的・質的緩和を、ことし1月にマイナス金利を導入した。2%の物価安定目標を早期に実現するのに何が必要かという観点から検証し、今後の金融政策に役立てたい」と説明。検証の次は新たな金融緩和が待っているのではとの指摘に対しては、「今から特定の政策を前提としたものではない」と述べるにとどめた。 (取材・文:具志堅浩二)