81歳「泣き虫先生」が涙、アカクロ花園へ…山口良治総監督の京都工学院が伏見工以来9大会ぶり
高校ラグビー27日開幕
第104回全国高校ラグビー大会が27日、大阪・東大阪市花園ラグビー場で開幕する。6大会ぶりの優勝を狙う大阪桐蔭(大阪第1)や、2連覇がかかる桐蔭学園(神奈川)を始め、シード13校の力に大差はないとみられ、優勝を巡って激しい試合が繰り広げられそうだ。決勝は来年1月7日に行われる。 【画像】天理は御所実を破り66回目の出場(11月17日、奈良県大会決勝)
優勝候補の両翼はAシードの大阪桐蔭、桐蔭学園。今春の全国選抜大会を制した大阪桐蔭は前回4強の主力だったSH川端隆馬、SO上田倭楓(いぶき)らが健在。桐蔭学園も昨年主力の新里堅志らFW陣の層が厚い。残るAシードの石見智翠館(島根)は選抜準優勝で、FW、BKのバランスがいい。
佐賀工VS東海大大阪仰星
1回戦から登場する実力校も多い。前回4強の佐賀工(佐賀)は東海大大阪仰星(大阪第2)、前々回準優勝の報徳学園(兵庫)は目黒学院(東京第1)と、初戦を勝てばBシード勢との対戦となり、大会序盤から好ゲームが展開されそうだ。
大会は51校が参加し、初出場校はなし。大会最多72度目の出場となる秋田工(秋田)や、4度の優勝を誇る伏見工を前身とし、現校名では初の花園となる京都工学院(京都)にも期待が集まる。
元日本代表・内田啓介さん「扉開けてくれた」
「アカクロ」が花園に帰ってくる。京都工学院が前身の伏見工以来、9大会ぶりに出場する。
11月の京都府予選決勝。8年連続で花園切符を阻まれていた宿敵・京都成章に残り6分で2点差に迫られた。さらに勢いに乗る相手を、伝統の赤と黒のユニホームを身にまとった京都工学院の選手たちは気迫のタックルで防ぎきった。総監督の山口良治さん(81)は「素晴らしいタックル。本当によく防いだ」と、「泣き虫先生」がうれし涙を流した。
タックルは、チームがこだわってきたプレーだ。接戦を勝ちきるため練習の最後に繰り返し続ける「タックルファイト」の時間を、このチームでは5分から10分に延ばした。厳しいメニューで培った運動量が、全国への道を切り開いた。
OBも支えてきた。最新の技術や戦略を伝えようと、大島淳史監督(42)らと連携して指導にあたった。今年現役を引退したばかりの元日本代表の内田啓介さん(32)は「閉まっていた扉を開けてくれた」とたたえた。
主将のFB広川陽翔は山口さんから「(全国では)やってきたことをやればいい」と助言を受けたという。「OBの人たちのためにも、ハードワークで厳しい試合を競り勝ちたい」と広川主将。伝統校に新たな歴史を刻む。 (松本慎平)