スーパーGT第5戦鈴鹿で怒涛のスケジュールをこなした吉本大樹。疲労感よりも悔しさ「今シーズン良いところがひとつもなかった」
12月7~8日に鈴鹿サーキットで行われたスーパーGT第5戦『SUZUKA GT 300km RACE GRAND FINAL』は今シーズン最後のレースということもあり、数々の話題があったが、そんなレースウイークに、これまでなかった“前代未聞”の週末を過ごしたのがSyntium LMcorsa GR Supra GTの吉本大樹だ。レース後、吉本に多忙だった週末を振り返ってもらった。 【公式練習で吉本大樹がドライブするSyntium LMcorsa GR Supra GT】 吉本は今季、河野駿佑とともにSyntium LMcorsa GR Supra GTをドライブしてきたが、オートスポーツwebでも既報のとおり、台風のため日程変更された第5戦鈴鹿は、吉本のもうひとつの顔である3ピース・ボーカルバンド『doa』の名古屋JAMMIN’でのライブの日程が重複してしまっていた。 そこでチームは、第3ドライバーとして伊東黎明を招聘。吉本は土曜の公式練習を走った後に名古屋に向かい、リハーサルと2ステージをこなし、鈴鹿へ戻り12月8日の決勝を走るスケジュールが立てられた。 12月8日、Syntium LMcorsa GR Supra GTは当初の予定どおりまずは河野から走行を開始。バランス等をチェックし、すぐに吉本へ交代。吉本は5周だけ走った後、すぐに伊東へバトンタッチ。名古屋に向かい、LM corsaのチームウェアのままリハーサルに臨んだ。 吉本がステージを披露している一方で、Syntium LMcorsa GR Supra GTは河野がQ1を担当。Q2のアッパー14進出はならなかったものの、ロワー15では伊東が1分56秒500を記録。合算18番手で予選を終えることになった。 鈴鹿へ戻り、吉本は12月8日の決勝レースへ臨んだ。スタートは河野が担当し、23周を走りピットへ。吉本も23周の後半スティントを担当しフィニッシュ。Syntium LMcorsa GR Supra GTは入賞には届かなかったが、14位でチェッカーを受けた。 レース後、吉本に話を聞くと「それぞれ別の現場で、どちらのパフォーマンスに影響してもいけないのですが、良い結果が出たらそれはそれでカッコ良かったんですけどね」と怒涛の2日間を振り返った。 「公式予選は駿佑と黎明に任せて、不思議と思ったようにグリップしなかったなどあったようなのですが、ふたりのおかげでレースができました。感謝したいですし、承諾してくれたチームにも感謝しています。またdoaのライブの現場ではふだん自分が準備するべきことができず、いきなりリハーサルになったのですが、スタッフとメンバーにも感謝ですね」 こうして2日間を過ごした吉本だったが、翌日には鈴鹿で行われたイベントに関与しており、深夜まで準備を進めたほか、このイベント内で過去のF1マシンであるジャガーR4を走らせるなど、タフな日程が続いた。 「ライブの後も夜はけっこう遅くて、決勝日は朝も早かったんです。いちおうシーズンも最後だしFIA-F4から観にきていましたし、なんなら月曜も引き続きイベントがありますからね。今日もかなり遅くなります(苦笑)」と苦笑いを浮かべた吉本。F1走行も甲高いV10サウンドを響かせ、しっかりと走行を終え2024年のサーキット収めとなった。 ただ、吉本にとってはタフなスケジュールをこなした充足感よりも、決勝でSyntium LMcorsa GR Supra GTに良い結果をもたらすことができなかったことが悔しい様子だった。「今シーズンを通じて良いところがひとつもなかったですからね」と吉本は語った。LM corsaは2025年に向けて車両スイッチの噂もあることから、なおさらだったのかもしれない。 [オートスポーツweb 2024年12月18日]