葬式や法事で40代男女は「ハニワ化」する

『女40代はおそろしい～』より

葬式や法事に関しては、女たちは何かを切ったり盛ったり注いだり運んだりとにかく働いて、男たちは座って談笑している、という光景が私にとっては馴染み深いです。 これも地域によっていろいろ違うと思うし、セレモニーの形式もどんどん変わっていっていると思うけど、10代、20代の頃から感じていた違和感はやっぱり未だに多くの現場で残っています。 夫の親族の法事の時、なんだか流れ的に私(女)がいろいろ台所仕事をしないとおかしい感じがしたので(己の内面に宿りし「こういう時は女がやるものである」が発動)甲斐甲斐しく働いたことがありました。 その時、夫は遠く離れた席でボーッとハニワみたいな顔をして時を過ごしていました。普段は家事育児を自分のこととしてやりまくる夫が固まっているのを見て、「おいっ！ お前の親族だろうが！ お前がやれや!!」と念を送りまくりました。 しかし夫も私と同じように、法事というイレギュラーな場面で、彼の内面に宿りし「男は談笑に勤しむべし」が発動しているのではないか、とも思いました。発動しながらも夫の中で「いや、でも、これでいいのか？」という疑問も湧いたことにより、男性陣の談笑にも入りきれずハニワ化していたのではないかと勝手に分析しました。 葬儀の中では逆に、出棺(棺を親族たちで持ち上げて運ぶ)という「男の作業」もあります。棺を運ぶぞ、ってなった時に急に「男性の方、持ってください」っていうのがありますよね。「はい、若い男性から順に」ってやつ。 ああいった「重いものを運ぶ」時は「女の人は何もしなくていい」が私の中に染み付いているので、ボーッとハニワみたいな顔でただ待ってしまいます。 そして、ハニワ顔で思っていることは、「私も持ちたいのにな、なんで触らせてももらえないのかな」とか「すっごく重いだろうな、なんか申し訳ないな」とか「男の人だからって腰が悪い人とかもいるだろうにな」とか「若い男性は絶対に断れない状況だよな、親族勢揃いだしな」とかです。 最終的に「滅多に会わない親戚同士でいきなり重たいものを持って、もしバランスを崩して棺がバーンって落ちて開いたらどうしよう！」とハラハラし始める頃にはもう出棺は終わっているのです。 私がもし大金持ちのおばあちゃんになったら、遺言書に「私の葬式での台所仕事と出棺は、プロに頼んでアウトソーシングするように。遺産で」と書いておきたいです。 ◇『女40代はおそろしい　夫より稼いでたら、家に居場所がなくなりました』の試し読みを公開中！ 亡くなった祖母の通夜に1人で参列することになったふさ子。香典で妻が「おまけ扱い」されることにモヤモヤしていたら、親戚から「専業主婦は女の人の特権」など聞き捨てならない言葉が聞こえてきて……