ホンダの2輪用電動過給機エンジンが話題だが、4輪では既に採用例あり! では電動化過給機のメリットとは?
ホンダ電動過給機付きV3エンジンの特性を予測
しかして、ホンダの発表した電動過給機付きエンジンについては、それ以外の過給機が見当たらない。つまり電動スーパーチャージャーだけで過給を行うシステムとして開発されている。 そうであれば、機械式スーパーチャージャーやターボチャージャーを採用するという手段もあり得るが、電動化する最大のメリットはレイアウトの自由度にある。 ターボチャージャーであれば排気系のどこかに配置する(できるだけエキゾーストポートに近い場所が理想)必要があるし、機械式スーパーチャージャーはクランク軸とベルトでつなぐことができる場所にしかレイアウトできない。しかし電動スーパーチャージャーであれば、そうした制限から解放されるため制限は少なくなる。 もちろん、エアクリーナーとエンジンの間に置かれている必要はあるし、できるだけ経路を短くしたほうがロス低減の点で有利なため、どこにでも置いて大丈夫というわけではないが、圧倒的なレイアウトのしやすさは魅力だ。 また、レスポンス面においても電動化のメリットは大きい。 ターボラグが発生しえないのは当然。機械式スーパーチャージャーもエンジン回転数が低いときには過給能力は低くなってしまう。しかし、電動スーパーチャージャーであれば理論上はアイドリング時にフルブーストに近い過給をかけることができる。過給エンジンでありながら、より大排気量エンジンのようなフィーリングに作り込むことも可能なはずだ。 ただし、電動スーパーチャージャーを動かす電力供給の問題がある。前述したアウディSQ7では48Vマイルドハイブリッドを採用していたので、ハイブリッド用バッテリーで電動スーパーチャージャーを動かす仕様となっていた。もし、ホンダの電動過給機付きV3エンジンの電装系が一般的な12V仕様で、補機バッテリーも小さなものだとしたら、エンジンでしっかり発電できていない状態でバッテリーから電力を持ち出すのは難しいだろう。このあたり、量産化に向けて、どのような仕様にしてくるのか興味深い。