ホンダの2輪用電動過給機エンジンが話題だが、4輪では既に採用例あり! では電動化過給機のメリットとは?
スーパーチャージャーは3タイプある
少々マニアックな話になるが、このようにクランク出力で動かす機械式スーパーチャージャーにおいては「ルーツ式」「リショルム式」「遠心式」と大きく3タイプにわけられる。このうち、もっともメジャーであろう「ルーツ式」はじつはブロワーに分類され、それ以外の2つがコンプレッサータイプとされている。 また、過給機の働き具合を可視化するものとしてブースト圧が挙げられ、その数値を示すブーストメーターはとくに過給機チューニングでは必須アイテムとなっている。一般的な4輪用エンジンでは「サージタンク」と呼ばれる、スロットルボディとインテークマニホールドの間にある空気溜めのスペースにセンサーなどを刺してブースト圧を計測することが多い。
過給機を電動化するメリットとは?
さて、これら過給機に関する前置きを踏まえて、ホンダがお披露目した「電動過給機」について考察してみよう。 ホンダの公式発表としては「電動過給機」となっているが、公開された写真などを見る限り、構造的には電気で動く遠心式スーパーチャージャーといえる。4輪のエンジンにおいても電動スーパーチャージャーは珍しいものではあるが、けっして例がないわけではない。 たとえば、アウディが2016年に発表したハイパフォーマンスSUV「SQ7」の積む4.0L V8ディーゼルエンジンには電動スーパーチャージャーが備わっていた。ただし、このエンジンでメインの過給を担当するのはツイン装着されたターボチャージャーであり、電動スーパーチャージャーは、前述した「ターボラグ」を解消するためのソリューションと位置づけられている。 また、日本では量産メーカーの採用例は見当たらないが、チューニング業界のビッグネームであるHKSが電動スーパーチャージャーを生産している。単体写真を見ると理解しやすいのだが、ターボチャージャーの排気側をモーターに置き換えたようなカタチとなっている。ただし、こちらも大型ターボチャージャーの苦手な領域をカバーするためのアイテムという意味合いが強く、電動スーパーチャージャー単体で過給チューニングを完結させるというイメージではない。