航空業界・農業にも参入!知られざる静岡の200年企業
物流の常識を変える変幻自在~農業にも参入
〇鈴与の変幻自在1「常識を変える新たな物流」 常に時代を先取りする鈴与。現在、売り上げの3分の1を支えているのが物流だ。物流を担うのはグループの中核会社「鈴与株式会社」。売り上げはここ10年ほぼ右肩上がりだ。 東京・銀座の「銀座ロフト」では、毎朝6時に7トントラックで商品を運び入れている。店舗裏の荷下ろしスペースはすぐにいっぱいになる。他の運送会社ならこれで終わりだが、鈴与は売り場のあるフロアまで運び入れる。 「文」と書かれた箱にはノートやペンなどの文房具、「健」と書かれた箱にはマスクなど健康雑貨が入っている。コンテナの中身は、鈴与の物流拠点であらかじめ仕分けしてある。売り場では商品を並べるだけなので、スタッフの手間が省ける。 スタッフは、「自分の売り場の商品しか届かないので、荷捌きのスピードが速くなり、負担も減ったと思います」と言う。 「ロフト」では5年前まで複数の物流会社を使っていたが、7割近くを鈴与に置き換えた。 「ロフトの生命線を維持するのに本当にお世話になっている。鈴与さんあってのロフトです」(「銀座ロフト」館長・千場基晴さん) 一方、静岡・富士市のサプリメントを扱う富士山フロント物流センター。扉の先にはエアシャワーがあり、その奥はクリーンルームになっている。鈴与はここで、メーカーに代わって、サプリメントの瓶詰め作業を行っている。 「物流、間接業務は私たちが負担することで、本業の時間を作って売り上げを上げていただきたい」(営業開発担当・山岡和明)
〇鈴与の変幻自在2「創業200年で農業に初参入」 2010年、鈴与はこれまで一度も手掛けたことのなかった農業に進出した。静岡・菊川市の「ベルファーム」で作っているのはトマト。グループ傘下の食品会社が作るミネストローネの材料にも使われている。 「次の世代は相当大変な時代が来るかもしれない。農業をもっと見直して、我々が生産性を上げて、日本の農業を組み立て直す必要があるんじゃないかと思うんです」(鈴木) ハウスで作業していたのはロボットだ。 紫外線を当ててカビなどの病原菌を抑制している。収穫後のトマトの選別でもAIを活用し、サイズや傷の有無、形の良さなどを瞬時に識別し、自動で仕分けている。 ハウスの隣では売り物にならないトマトや、グループの食品会社から出る廃棄物を利用してメタンガスを発生させるプラントを設置。このガスを使って発電機を動かし、毎日、約200世帯分の電気を作り出している。 「チャレンジすること、自己改革することがうちのグループのエネルギーの原点。それがなくなったら、グループのエンジンみたいなものがなくなってしまうんじゃないかと思う」(鈴木)