複数の仕事を同時並行で進める仕事術が最強の理由(滝川徹 時短コンサルタント)
■仕事に早く着手することで得られる絶大な安心感
仕事を同時進行で進めるメリットはまだある。それは抱えている仕事に早く着手することで、その仕事の見通し(全体像)が早い段階で見えるようになることだ。 仕事というものは実際に取り組んでみないとどれだけ時間がかかるか、どれだけの労力がかかるかイメージできないことが多い。 たとえば仕事でレポートを書くことになったとしよう。ネットでのリサーチに30分、資料を読むのに1時間、レポートを仕上げるのに2時間、全部で4時間もあれば十分と考えたとする。 しかしいざリサーチをはじめると、思うようなデータが出てこない。ようやくリサーチを終えて資料を読みはじめると、思っていた以上に難しい。さらにレポートを仕上げるために別の資料を読まなければいけないことが判明する。 けっきょく4時間の予定が8時間かかってしまう。こうした経験をしたことは誰でもあるはずだ。このように仕事は実際に取りかかってみないと全体像が見えてこない。 仕事の見通しが早い段階で見えない問題点はいくつかある。ひとつは自分が抱えている仕事が締め切りまでに無事終わるのか、常に不安がつきまとうことだ。 長時間労働をしていた頃、私は毎日「仕事が爆発してしまったらどうしよう」という不安に苛まれていた。たくさんの仕事を抱えていたが、当時は同時進行で仕事を進めるという発想がなかった。その大半が未着手の状態だった。 そうすると「このペースで毎日働いていて、無事全ての仕事を締め切りまでに終わらせることができるのだろうか」という不安が払拭できない。自分が抱えている仕事の見通し・全体像が全く想像できなかったからだ。 私がわかっていたことはただひとつ。とにかくたくさん、やらなければいけない仕事がある。それだけだった。不安でしかたなかった私にできることは限界まで毎日長時間働くことだった。 しかし30分仕事術を実践すれば、当時の私の悩みは簡単に解決することができる。複数の仕事を毎日30分ずつ同時進行で進めていけば、未着手の仕事がなくなっていく。先にも書いた通り、仕事は着手すればその仕事にかかるであろう時間や労力が想像できるようになる。手に入るのは安心感だ。 君は以前と比べて自分の仕事をコントロールできている感覚を味わうことができる。少なくとも以前のように目の前の仕事に取り組みながら「あの仕事はまだ全然手をつけられてないけど、期日までに終わらせられるかな」などと思わずにすむ。あらゆる仕事も着手さえできていれば、期日までに終わりそうか想像できるようになるからだ。 昔の私のように、あの仕事は締め切りまでに間に合うだろうかなどと心配している状態では目の前の仕事に100%集中することもできない。当然、仕事の生産性は低下する。30分仕事術を実践すれば、常に仕事をコントロールでき、不安は限りなくゼロに近づく。目の前の仕事に100%集中できるようになる。