複数の仕事を同時並行で進める仕事術が最強の理由(滝川徹 時短コンサルタント)
■時間ロスをなくし最短ルートで仕事を仕上げる方法
仕事に早く着手するメリットは、不安を払拭できることだけに留まらない。仕事の段取りがよくなり、最短ルートで仕事を終えられるようになる。 たとえば私が会社で社外の人も含めた勉強会の企画・立案を任されたとしよう。開催は準備もそれなりにかかるので、半年後くらいと言われた。その場合、今の私ならはじめの30分で次のように作業を書き出すことからはじめる。 ①勉強会の内容・構成を考える ②上司から①を承認してもらう ③当日発表してもらう人物にプレゼンの準備を依頼する ④出席者のスケジュールを確認して日程を決める ⑤会議室を確保する ⑥日程の詳細を案内する ⑦懇親会の店を予約する ⑧懇親会の乾杯と終わりの挨拶をお願いする人物に依頼する 長期間にわたる仕事ほど、手順や段取りを整理・検討してから取り組むことが大切だ。そうしないと大抵の場合回り道をして時間を大幅にロスすることになるからだ。 同じタスクでも、昔の私なら「まず日程を決めないと」と焦りながら関係者の日程調整からはじめただろう。その結果……。 日程調整を終えて、勉強会の企画を上司と詰めた後で数人の社外関係者にプレゼンを依頼する必要があることに気づく。あわてて依頼すると「準備に1カ月以上はかかるから、そのスケジュールではとても間に合いませんね」と言われた。さぁ、どうする? なんとか調整して、社内外の参加者に確認も取れて案内まで終えた。あとは会議室を確保するだけ。だが空いてない! さぁ、どうする? 同僚のおかげで会議室問題もクリア。勉強会も無事終了し、懇親会に。だが直前になって、重鎮の列席者に乾杯の挨拶を頼んでおくのを忘れていたことに気がつく。さぁ、どうする? 極端な例だと思うかもしれない。だが昔の私はこれに似たような経験を何度かしたことがある。 仕事を効率よく進めるためには段取りを事前に整理・検討しておくことが極めて重要だ。同じ仕事でも作業に取り組む順番を間違うと時間ロス(時には大ダメージ)につながる。 仕事に早く着手して最初に段取りを整理する習慣をもつことができれば、時間ロスのリスクを格段に減らし、最短ルートで仕事を仕上げられるようになるのだ。 滝川徹 時短コンサルタント
【プロフィール 滝川徹・時短コンサルタント】
現役会社員であり、時短コンサルタント。1982年東京生まれ。慶應義塾大学卒業後、内資トップの大手金融機関に勤務。長時間労働に悩んだことをきっかけに独学でタスク管理を習得。2014年に自身が所属する組織の残業を削減した取り組みが全国で表彰される。2016年には「残業ゼロ」の働き方を達成。その体験を出版した『気持ちが楽になる働き方 33歳大企業サラリーマン、長時間労働をやめる。』(金風舎)はAmazon1位2部門を獲得。時間管理をテーマにした講演やセミナー活動、書籍執筆、Yahoo! ニュースやアゴラの寄稿、SNSや動画配信などでタスク管理についての情報発信を精力的に行っている。