エンジン分解時は単純洗浄で復元せずに徹底的なリフレッシュで爽快!!
長年乗り続けてきたエンジンの修理で、クランクンケースカバーを開け、滑り始めたクラッチ板を交換しておこう、といった作業はよくあることだが、そんな際に、クラッチカバーの裏側やエンジンの中身が「真っ黒け~!!」だったことに、気付かされることがある。長く乗り続ければ、当然にエンジン内部の汚れは進むものだが、真っ黒になる理由には、走行距離だけではなく様々な理由も考えられる。ここでは、エンジンの分解ついでに「クランクケースの汚れ落とし」を実践した様子をリポートしよう。 【画像】詳しいメンテナンス作業をギャラリーで見る(10枚) 文/Webikeプラス たぐちかつみ
降ろしたエンジンの分解作業は手際良く進めよう
ホンダ横型エンジン搭載モデルのメンテナンスやチューニングは楽しい。いじった分の違いを、明確に体感できるエンジンだからだ。スーパーカブにダックス、シャリィなどなど、モデルは違っても、エンジンマウント位置が同じなので、降ろしたエンジンを安定させるエンジンメンテナンス台も、それぞれのモデルで転用可能なのが嬉しい。
エンジン内部が真っ黒な時には、原因を探求しよう
クランクケースカバーを開けた段階で、イャな臭いがプ~ンとしてきた。この段階ですでに、エンジンは全バラにした後に「クランクケースの完全洗浄」を決意した。エンジ内部からは、腐ったガソリン臭がしたのだ。「エンジンオイルを抜いて保管していた」と、前オーナーさんか伺ってはいたが、エンジン内部はオイルではなく、オーバーフローで流れ込んでしまったガソリンで汚れていた。しかもオイルポンプシャフトを固定するブッシュが折れていた。寸胴鍋に水を張って花さかGマルチクリーナーを混ぜ、ガスコンロで温めながらクランクケースを煮込み洗浄することにした。かなり強烈な汚れでも、このクリーニング作戦なら、数時間の洗浄で決着がつくはず。クランクケースは真っ白に蘇った。
サンドブラストと事後の徹底洗浄は表裏一体
クランクケースは洗浄後に完全脱脂を施し、さらに今回は、アルミナ100番のメディアで下処理後にガラスビーズ120番で仕上げのショット処理を行うことにした。ガラスビーズショットによって、アルミ鋳物のクランクケースはピカピカに輝いた。処理後にはCVジュニア乾燥器を使って、120度まで温度を高めて30分ほど連続乾燥させ、熱いうちにエアーブローを行った。加熱によってブラストメディアは乾燥してサラサラになり、エアーブローすることで吹き飛ばし除去することができる。超音波洗浄機を使って仕上げ処理を行えば完璧だが、ケースを完全乾燥させた後のエアーブローでも効果を得られる。このエンジンには、パーツビルダー製のストリートクロス4速を組み込むことにした。ギヤを組み換えれば、レース用のクロス仕様にも変更できる。このミッションを組み込んだことで、後々二次クラッチ化も可能になった。