人生がうまくいく人は無意識にやっている…頭の中から"後悔"がスッと消える「時間の使い方」3つのコツ
■「自分の時間配分」を知る 視点を変えることのほかにも、自分が時間をどのように使っているかを知ることも幸せや成長のための時間が増やせるコツです。そこで私がおすすめするのは、「時間のポートフォリオ」を作ること。 ポートフォリオとは、投資などのお金の世界では「投資配分」という意味で使われる言葉です。つまり、「自分の時間配分」という意味になります。「幸福・投資・役割・浪費」の4つの時間を、自分はどう配分しているのかをグラフに表すものです。円グラフにすれば、それぞれの割合が見た目にもわかりやすいと思います。 いま自分がどのように時間を使っているかという現在のポートフォリオと、自分が理想とする生き方のポートフォリオを書き出してみると、自分がどのような時間の使い方をしているかが見えやすくなります。多忙で時間に追われている人は「役割の時間」が多いでしょうし、ついダラダラ過ごしがちな人は「浪費の時間」が多くなるでしょう。時間を見える化することで、「役割の時間」や「浪費の時間」にどれだけ時間を取られているか、理想と現実の差を知るきっかけにできます。 理想のポートフォリオが描けていれば、何かの選択を迫られた際も、理想に近づく選択ができるようになります。たとえば、目の前においしそうなプリンがあったとします。これを食べて「幸福の時間」を過ごすか、ガマンして資格の勉強などを行って「投資の時間」を過ごすかの二者択一で迷ったとします。 そこで直近の時間の使い方を振り返って、「幸福の時間」が多かった場合は「最近は楽しみが多かったから、投資の時間に充てよう」、逆に「投資の時間」が多かった場合は「このあたりで自分にご褒美をあげてもいいかな」という形で、理想に近づきながら、迷わずにその時間を選ぶことができます。 ■「役割の時間」を減らすことが幸福に繋がる ですが時間のポートフォリオを作り、理想の配分を目指して暮らしていても、仕事上のトラブルや、子どもが急病で病院に連れて行かなければならないなど、イレギュラーな事態で時間に追われることもあるはずです。 子どもの急病にはすぐに対応すべきですが、緊急事態だと思っていることでも、よく考えてみると「緊急ではなかった」というケースは意外とあると考えています。 たとえば、取引先が激怒してクレームを入れてきたとしても、相手が一時の感情で言っているだけだったり、相手側が勘違いしている場合もあります。そんなときは、時間が解決するまで放置するのもひとつの手段かもしれません。少し時間を置いたことで案外うまくいってしまうこともあります。 クレームの場合は「怒り」という感情ですが、それに限らず相手の感情に左右されすぎないことで「役割の時間」を減らすことができ、最終的には幸福に繋がるはずです。 私は時間に対する意識の向け方を変えたことで幸福感が増し、ものごとをポジティブに考えられるようにもなりました。漠然とした忙しさを感じていたり、常に時間が足りないと思うなら、時間の使い方を分類すること、考え方を変えて時間の価値を変換すること、ポートフォリオを作って理想に近づけるよう行動すること。この3つを試してみてもいいかもしれません。 ※本稿は、雑誌『プレジデント』(2024年11月15日号)の一部を再編集したものです。 ---------- 柿内 尚文(かきうち・たかふみ) 編集者 1968年生まれ。東京都出身。聖光学院高等学校、慶應義塾大学文学部卒業。読売広告社を経て出版業界に転職。ぶんか社、アスキーを経て現在、アスコム取締役。長年、雑誌と書籍の編集に携わり、これまで企画した本やムックの累計発行部数は1300万部以上、10万部を超えるベストセラーは50冊以上に及ぶ。現在は本の編集だけでなく、編集という手法を活用した企業のマーケティングや事業構築、商品開発のサポート、セミナーや講演など多岐にわたり活動。著書に『パン屋ではおにぎりを売れ』『バナナの魅力を100文字で伝えてください』(共にかんき出版)がある。 ----------
編集者 柿内 尚文 構成=松嶋三郎