スタリオンにショーグン ランエボまで 50周年イベントに集結 ランサー/ギャランの英国上陸から半世紀(2)
三菱ランサー・エボリューションVIII MR(2005年式/英国仕様)
オーナー:アントニオ・コレイラ氏/マリア・クリスティーナ・コレイラ氏 多くのランエボ・ファンと同様に、アントニオもラリーの影響を受け、三菱へ強い興味を抱くようになったとか。ポルトガル生まれの彼は、派手にジャンプするランサーのラリーマシンが、脳裏に焼き付いていると話す。 職業は救急救命士だが、自身もラリーへ挑んできた。スポンサーを見つけると、フィアットで参戦。余裕が出て、ランサー・エボリューションVIIIを自身のクルマとして購入するものの、英国への移住を機に手放す決断へ迫られた。 その後、ランエボへの気持ちは抑えられず、3年前に候補探しを開始。最初に出会った1台は酷く錆びていて見送り、グレートブリテン島南部のブライトンで、ほぼノーマル状態のVIIIを発見したそうだ。 トップスペックのMRで、ビルシュタイン社製のダンパーにBBSのアルミホイール、アルミ製ルーフが備わる。「当時はかなり先進的なクルマでした。すべてが揃っていたといって良いですよ」。アントニオが誇らしげに語る。 「追い越したい時は、ただアクセルペダルを踏み込むだけ。クルマとの一体感も素晴らしいと思います」
三菱3000GT(GTO/1996年式/英国仕様)
オーナー:マイケル・ディーンズ氏 日本がバブル景気に沸いていた、1980年代後半。三菱は他の日本メーカーと足並みを揃えるように、スタリオンを置き換え、高性能なクーペを開発した。 ライバルは、トヨタ・スープラに日産300ZX(フェアレディZ)、スバルSVX、ホンダNSX、マツダRX-7など。三菱はハイテクな3000GTを仕上げるが、バブルが弾け、販売不振に。欧州市場では、同社最後のクーペになってしまった。 ラリーアート・ヨーロッパを率いた、ドライバーのアンドリュー・コーワン氏は、3000GTを自身のクルマとして大切に乗っていたらしい。「自分はアンドリューと仲が良くて、普段からこの三菱を彼は運転していましたよ」。ディーンズが話す。 「アンドリューが引退を決め、スコットランドへ戻る時に、これをガレージへ置いていったんです。また走らせようと、約束していたんですが、叶いませんでした。亡くなるまで、彼はこのクルマを手放しませんでしたね」 ディーンズは、家族とともに43年間も三菱のディーラーを営んできた。3000GTは、同社の技術力の集大成だと考えている。強い縛りがなく、最高のクルマを作ることが許された時代の申し子といえる。 「アクティブエアロに、24バルブDOHCの3.0L V6ツインターボエンジン、後輪操舵システムなど、あらゆる最新技術が盛り込まれています。時代を先取りしていましたよね。今でもキシミ1つなく、すべて機能しますよ」