「背が低い」と悩んでいるなんてもったいない!…あなたは「変わらないこと」を悩み続けていませんか?
いままで、「大切な人と深くつながるために」「いじめられている君へ」「親の期待に応えなくていい」など、10代に向けて多くのメッセージを発信してきた作家の鴻上尚史さんが「今の10代に贈る生きるヒント」を6月12日に刊行した。その書籍のタイトルは『君はどう生きるか』。昨年ジブリの映画でも話題になった90年近く前のベストセラーをもじったこのタイトル。なぜ「君たち」でなくて「君」なのか。そこには鴻上尚史の考える時代の大きな変化があった。 【漫画】刑務官が明かす…死刑囚が執行時に「アイマスク」を着用する衝撃の理由 『君はどう生きるか』(鴻上尚史著)より抜粋して、著者がいまを生きる10代に贈るメッセージを一部紹介する。 『君はどう生きるか』連載第39回 『「イチローや大谷でさえ…」必死にあがく自分に手を差し伸べたディレクターの “一言”』より続く
変わらないことを悩むのは時間のムダ
ぼくの知り合いに背の低い男性が二人います。 一人は何かあると、自分の背の低さを哀しみます。一緒に食事をしていると、「背が高かったら、もっと女性にもてたのに」とか「人生が変わったのに」と言います。 もう一人は、自分の背のことはまったく言いません。一緒に食事しても、いろんな話題をあれこれと話すだけで、「自分の背が高かったら」なんてことは言わないのです。 二人とも大切な友達ですから、ぼくは何も言わないし、これからも一緒に食事をしますが、背の低さを哀しんでいる友人は、もったいないなあと思います。 どんなに哀しんでも、悩んでも、背の高さは変わりません。申し訳ないけれど、変わらないことを悩むのは、とてももったいないことだとぼくは思うのです。 残酷な言い方をすれば、それは彼にとっても、聞いているぼくにとっても、意味のないことです。時間のムダだし、エネルギーのムダだし、その時間に他のことを話した方がうんと楽しいと思ってしまうのです。
君の悩みは悩んで「変わること」?
君が自信がないと苦しんだり、悩んだりしていることは、悩んで「変わること」?それとも「変わらないこと」? これも箇条書きにするのがいいと思う。 書き終わったら、悩んでも変わらないことは、悩む意味がないとふんぎるんだ。 過去の失敗をウダウダと悔やんでいるとか、明日のテストや試合がうまくできるかどうか心配でたまらないとか、明日までに5キロやせたいとか、大好きな人が遠くに引っ越してしまったとか、どんなに心配しても悩んでも変わらないことは、心配したり悩んだりするだけムダなんだ。